2021 Fiscal Year Research-status Report
コレステロールと脂肪摂取の相乗作用による非アルコール性脂肪肝疾患の発症メカニズム
Project/Area Number |
21K05470
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
篠畑 綾子 岡山大学, 保健学域, 助教 (70335587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 真一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50346417)
柴倉 美砂子 岡山大学, 保健学域, 准教授 (30314694) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / コレステロール / 中性脂肪 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝疾患は罹患率が年々増加しており,その一要因として食生活の関与が挙げられる。本年度は,SDラットにコレステロールと脂肪を別々に摂取させることにより,コレステロールと脂肪の同時摂取が脂肪肝炎を引き起こす必須条件であるか,検討を行った。 4種の飼料[通常飼料(MF),高コレステロール飼料(HC)、高脂肪飼料(HF)、高脂肪・高コレステロール飼料(HFC)]を用い,SDラットを8週間飼育した。飼育期間中,①MFを投与した群(MF群),②HC後にHFを投与した群(HC-HF群),③HF後にHCを投与した群(HF-HC群),④HFCを投与した群(HFC群)の4群を用い,比較検討を行った。 肝のトリグリセライド蓄積量はMF群に比べHF-HC群,HC-HF群,HFC群で増加していたが,3群間に有意な差は認められなかった。肝コレステロール蓄積量はHF-HC群,HC-HF群に比べHFC群で有意に増加していた。また,肝体重量比もHFC群において他の3群に比べ増加し,肝の腫大が認められた。炎症に関連する血清PAF-AH(platelet-activating factor acetylhydrolase)活性は,MF群やHF-HC群,HC-HF群に比べ,HFC群では著明な上昇がみられ,肝におけるPAF-AHのmRNA発現量にも同様の傾向が認められた。また,炎症性サイトカインTNFαや線維化の指標である1型コラーゲン(COL1A1)のmRNA発現量もHFC群において増加しており,HFC群では単独投与群であるHC-HF群やHF-HC群に比べ脂肪肝炎の進展が認められた。 これらの結果から,コレステロールや脂肪の単独摂取に比べ,同時摂取による相乗効果が脂肪肝炎を増長する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の実施計画において本年度に実施を予定していたモデル動物の作製や検体採取,組織・血清解析をおおむね行うことができた。一部項目については次年度に持ち越したが,大部分は予定どおり遂行できたことから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,初年度に採取した検体を用いて血中リポ蛋白や肝HDL代謝関連蛋白発現等の詳細解析を行うとともに,脂肪酸組成の異なる脂肪飼料を用いて肝脂肪蓄積や炎症進展に与える影響を検討する予定であったが,研究代表者の資格喪失に伴い,本課題を廃止する予定である。
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Causes of Carryover |
一部消耗品の納入が遅れ年度内に購入できなかったことと,一部解析項目を次年度に持ち越したため,未使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)