2023 Fiscal Year Annual Research Report
呈味性と咀嚼・嚥下容易性を制御するための3次元造形手法の確立
Project/Area Number |
21K05483
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三浦 靖 岩手大学, 農学部, 教授 (50261459)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 低塩化食品 / 低糖質化食品 / 咀嚼・嚥下容易性食品 / 3次元積層造形 / 3Dプリンタ / レオロジー / 数値流体力学 / コンピュータシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国が直面している『超高齢社会』と『多発する自然災害』に食関連産業が対応すべき事項として,高齢者対応食品ならびに災害食の開発が考えられる。本研究では呈味素材の配合量を低減しても呈味が十分に知覚できるようにして食品の低塩/低糖質化を可能とすること,および咀嚼時には過剰に唾液を吸収することなく容易に破砕・小片化され,口腔中で形成された食塊が唾液を滲出することなく一体となって嚥下できるようにして咀嚼・嚥下を容易にすることを目的にして低水分固体食品の3次元積層造形法を検討した。1.呈味性および咀嚼・嚥下容易性を制御できる3次元微細構造の特定:前年度までに検討した細線並列構造,同心円構造および同心方形構造に加えてブロックチェック構造について,呈味性(塩味,甘未)と咀嚼・嚥下容易性を評価した。呈味(客観的評価:唾液吸収率,断片の粒子径分布,ナトリウム・塩化物イオンとスクロースの唾液への溶出量,主観的評価:塩味と甘味の強度を5段階カテゴリー尺度評価)および咀嚼・嚥下容易性(客観的評価:唾液吸収率,断片の粒子径分布,食塊の摩擦特性値,舌圧,咬筋,舌骨上筋群の表面筋電位,咽頭部での食塊流速,主観的評価:硬さ,まとまりやすさ,唾液吸収性,粒子感,崩壊性,飲み込みやすさ,嚥下後の残留感,おいしさを5段階カテゴリー尺度評価)を評価した。呈味物質を含んだブロックを崩壊しやすい構造にすることで呈味物質の唾液への溶出が促進される可能性があった。咀嚼・嚥下容易性が顕著に向上する3次元積層構造は特定はできなかったが,本研究での3次元積層造形の中では「最も不均一な構造」が比較的に咀嚼・嚥下しやすい3次元積層構造である可能性があった。2.食品用3次元造形装置のシステム化:呈味強度の増強,および咀嚼・嚥下容易性の改善に最適な構造に自動造形できるように食品用3次元造形装置をシステム化するまでには至らなかった。
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