2021 Fiscal Year Research-status Report
さとうきび搾汁液に含まれる核内受容体PPARγ活性化物質の解明
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21K05492
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
松浦 信康 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60281250)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | さとうきび搾汁液 / 核内受容体PPARγ / アゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
きび砂糖(不完全精製糖)は上白糖(完全精製糖)とは異なり、血糖値の上昇が緩やかになる成分(オリゴ糖)の含有が報告されているが、きび砂糖の血糖値上昇抑制に関する詳細はほとんど明らかにされていない。申請者は予備研究において、さとうきび搾汁液有機溶媒抽出画分に核内受容体Peroxisome Proliferator Activated Receptor-γ(PPAR-γ)活性化作用(血糖値上昇抑制作用)を見出した。近年、莫大な数のサプリメントが市場に存在するが、効果に対する明確なエビデンスが明らかにされているものは皆無に等しいと言わざるをえない。また同様に、様々な食品には効果があると思われるものの、その効果が証明されているものは極めて少ない。食品を安全かつ効果的に利用するには、正確なエビデンスが重要である。 そこで本研究では、きび糖(未精製糖)の持つ血糖値上昇抑制活性に着目した。まず予備実験において、活性化物質はオリゴ糖とは異なる低分子化合物であることが予想された。そこで活性成分の精製を詳細に検討を行い、活性成分単離スキームを確立した。 そこで本研究所年度においては、さとうきび搾汁液約100Lから活性物質を単離し、各種機器スペクトルを測定することにより、活性物質の化学構造を決定することとした。予備実験の結果に基づき、様々な分離用担体を用いて分離を行い、粗生成物を得ることができた。最終的には本研究予算にて購入した分取用高速液体クロマトグラフィーにて精製を行った。昨年度までに行った予備実験から、精製最終工程である分取高速液体クロマトグラフィーでの分離を行うことにより、化学構造解析には十分な量が確保できたと考えた。しかしながら分離後、活性物質が化学変化を起こし、他の化合物へ変換してしまうことが明らかとなった。そのため、活性物質の化学構造決定には至らなかった。現在、再分離、精製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1年目にさとうきび搾汁液より活性物質の単離、構造解析まで行う予定であった。当初の予定どおり活性物質の大量分離を行い構造解析に十分と考えられる量の分離を行った。しかしながら分離最終工程において活性物質が化学変化を起こしてしまったため、構造解析には至らなかった。化学変化の原因について検討し明らかにできたことから、現在鋭意分離精製を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
PPARγ活性化物質の化学的安定性について情報がえらえたことから、22年度前半には21年度課題をクリアし、本年度の課題である活性化物質による作用機構の解明について検討を行う予定である。
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