2023 Fiscal Year Research-status Report
精子形成減数分裂期以降における完全な翻訳抑制と部分的な翻訳抑制の機構
Project/Area Number |
21K05498
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柏原 真一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00254318)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精子形成 / 翻訳制御 / PABPC6 / hnRNP / RNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
精子形成における翻訳制御に関して、令和5年度では下記事項を明らかにした。 ①申請者らは前年度において、抗eIF4E抗体により免疫沈降される精巣内タンパク質を複数同定した。これらタンパク質について、lambdaN-BoxBシステムを用いたテザリングレポーターアッセイを行った結果、スプライシング関連因子であるRbm17/SPF45を含むいくつかの因子が、配列特異的な翻訳抑制能を有することが示唆された。②オリゴ(dT)セルロースを用いた精巣抽出液のプルダウンにより、翻訳不活性なmRNAに結合する因子として複数のhnRNPファミリータンパク質が前年度において同定された。上記システムを用いたレポーターアッセイにより、同様にスプライシング関連因子であるhnRNPDなどが、配列特異的翻訳抑制能を有することが示唆された。これらの結果は、精巣細胞質におけるmRNAの翻訳制御には、核内でスプライシングにかかわる因子群が協調して関与していることを示唆している。③前年度において、精巣特異的に存在するPABPC6が普遍的なPABPC1とは異なり、翻訳不活性画分にのみ分布しポリソーム上のmRNAとは会合しないこと、またクロマトイドボディに濃縮されていることなどから、mRNA保存および翻訳抑制に関与することが示唆された。そこで、その欠損マウスを作製・解析したところ、予想に反し精子形成および妊孕性は正常であり、また翻訳への影響も認められなかった。このことは、もう一つの精巣特異的なPABPC2と同様、PABPC6の機能的冗長性を意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PABPC6が機能的に冗長であることを明らかにすることができた。また、配列特異的にmRNAに結合し、eIF4Gと競合的にeIF4Eに結合することにより翻訳抑制を行う可能性のあるタンパク質を同定することができた。hnRNPタンパク質の翻訳抑制能についても、明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
抗eIF4E抗体により免疫沈降された因子群のeIF4Eとの相互作用について、逆免疫沈降ならびにGSTプルダウンアッセイ等により検証する。一方、半数体特異的mRNAの3’非翻訳領域を用いたレポーターアッセイにより、実際にこれらmRNAに対して作用するのかについて検討する。同定された因子群の半数体特異的mRNAへの結合能についても、RNA免疫沈降により評価する。
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Causes of Carryover |
同定された因子群に対する抗体作製まで至らなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用分については、抗体作製とそれらを用いたRNA免疫沈降等に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)