2021 Fiscal Year Research-status Report
リーダーレスタンパク質の小胞体内へのタンパク質輸送機構の解析
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21K05502
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
細見 昭 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (60525864)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シグナルペプチド / 小胞体 / 分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、シグナルペプチドに依存しない小胞内へのタンパク質輸送機構の解明である。 出芽酵母Ste24タンパク質がシグナルペプチドに依存しない小胞体内へのタンパク質輸送の抑制因子であることが明らかになっている。しかしながら、Ste24のどのような機能によって輸送を抑制しているかは明らかでない。解析を行った結果、Ste24は自身のプロテアーゼによってシグナルペプチド非依存的に輸送されるタンパク質を切断することが明らかになった。つまり、Ste24はタンパク質を切断することで輸送を抑制すると考えられる。 Ste24に加えて、Spc2タンパク質もシグナルペプチドに依存しない輸送の抑制因子である。spc2遺伝子破壊株の解析を行った結果、Spc2がSte24の安定性に寄与することがわかった。つまり、spc2遺伝子破壊ではSte24が不安定化し、輸送を抑制できなくなっていると推測された。 これまでの知見から、シグナルペプチド非依存的輸送におけるタンパク質認識は輸送されるタンパク質中に存在するシステイン残基が一定の役割を果たしている可能性が考えられた。そこで、タンパク質シグナルペプチド削除型CPY*(CPY*dN28)を用いて解析を行った。具体的には、CPY*dN28のシステイン変異体の解析である。解析の結果、CPY*dN28システイン変異体が小胞体内に輸送される割合が下がることが明らかになった。この結果は、輸送されるタンパク質中のシステイン残基が輸送に寄与することを示唆している。加えて、小胞体内へのタンパク質輸送体であるSec61のシステイン変異体の解析の結果、Sec61のシステインもシグナルペプチド非依存的輸送に寄与することがわかった。 ヒトSOD1の解析を行った結果、ste24破壊株を基にした二重遺伝子破壊株でSOD1が小胞体内に輸送され得るという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つであるシグナルペプチド非依存的輸送におけるSte24の機能の解明が行えた。加えて、Ste24に機能解析の関連としてSpc2タンパク質の役割も明らかにできつつある。CPY*dN28のシステイン変異体とSec61システイン変異体の解析及びヒトSOD1の解析も含め研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
CPY*dN28のシステイン変異体の解析を進め、CPY*dN28中に存在する11個のシステインの全てが輸送に寄与するのか、それとも特定のシステインのみなのかを明らかにする。また、ヒトSOD1の解析を進める。具体的には、ALSに関連するSOD1変異体を作成して輸送の変化を検証する。
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Research Products
(3 results)