2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the construction principle of animal cell chromosomes and their control mechanism
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21K05503
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
奥村 克純 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30177183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹林 慎一郎 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50392022)
栗谷 健志 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (10835309)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 哺乳類染色体 / DNA複製 / クロマチン / 複製タイミング / 染色体構築原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類細胞の長大な染色体DNAは,細胞分裂周期S期の特定の時間(タイミング)で複製する数百kbから数Mb塩基対程度のまとまり(複製ドメイン)のモザイク構造でできており,染色体の構築単位としてゲノムの安定性や細胞分化,細胞機能などで重要な役割を担うが,その構築原理と制御はわかっていない。本研究では,申請者が分担者らと開発した単一細胞で複製ドメインを解析する技術[scRepli-seq法]を用いて「核内染色体機能ドメイン」の実体を示し,その形成に関わる未知のゲノム配列を同定し,その役割を明らかにすることを目指している。 研究実施計画,1)活性型クロマチンドメイン構築に必要な最小のゲノム単位の決定,2)活性型クロマチンドメインの境界を決定している配列の同定,3)活性型クロマチンドメイン構築に関わるトランス因子と相互作用するゲノム配列の同定のうち,特に,1)についてドメインレベルの複製タイミングに影響を与えるゲノム配列を同定すべく,研究を進めた。すなわち,これまで我々の研究グループでは,ATP依存性のBrahma-associated factor (BAF) クロマチンリモデリング複合体サブユニットBAF250aおよびBrg1が初期複製ドメイン形成に関与する因子であることを明らかにしているが,同定したBAF感受性初期複製ドメイン内に存在する複数のBrg1結合部位を複数個に大きく分け,CRISPR/Cas9システムを用いて,それぞれのゲノム領域を欠失させた変異体を作製し,scRepli-seq法を用いて複製タイミングを解析した。その結果,そのうちの一つの短い欠失において,後期複製へのシフトが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性型クロマチンドメイン構築に必要な最小のゲノム単位の決定のために,ドメインレベルの複製タイミングに影響を与えるゲノム配列を同定すべく,研究実施計画に沿って研究を進め,初期複製ドメイン形成に関与する因子のゲノム上の結合部位の一つの短い欠失において,後期複製へのシフトを確認している。これについてさらなる解析を進めており,概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に従って研究を進め,短いゲノム領域の欠失によって複製タイミングが変化する例も見出している。今後,前年度に見出したゲノム領域について,さらに解析を進め,ドメインレベルの複製タイミングに影響を与えるゲノム配列を同定し,活性型クロマチンドメイン構築に必要な最小のゲノム単位の決定を進めるとともに,活性型クロマチンドメインの境界を決定している配列の同定や活性型クロマチンドメイン構築に関わるトランス因子と相互作用するゲノム配列の同定についても並行して進める予定である。
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Causes of Carryover |
学内経費の配分があり,本研究課題の実施に充てたため,今年度使用予定分を次年度に繰り越した。なお,繰越分については,scRepli-seq法を用いた複製タイミング解析に用いる消耗品の購入や投稿論文英文校閲費,掲載料等に使用する予定である。
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