2023 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化過程におけるゲノム構造変化のヌクレオソームレベルでの理解
Project/Area Number |
21K05512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 雅恵 京都大学, 高等研究院, 特定講師 (10581738)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヌクレオソーム / ゲノム構造 / 染色体立体配座捕捉法 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化研究のモデル生物として有用な出芽酵母を用いて、老化前後の出芽酵母に対してHi-CO解析を行った。老化前の細胞として対数増殖期の酵母、および老化細胞として長期培養し増殖静止期に入った酵母を用いた。Hi-CO法では、化学固定した酵母をMicrococcal nuclease (MNase) で処理し、ゲノムをヌクレオソームサイズに切断した後に、DNAアダプターをヌクレオソーム上のゲノムDNAに結合させ、このアダプター同士を結合させることで空間的に近い位置にあるヌクレオソーム同士を連結する。増殖期と静止期の酵母では、細胞壁の厚さやクロマチンのアクセシビリティが異なる。そのため、細胞壁破砕やMNase処理条件などのHi-CO法における各ステップを、増殖期と静止期のそれぞれの酵母において最適化する必要があった。また、最終産物である連結したヌクレオソームの収量が低いことが問題としてあったため、この点を改善するために、使用する酵素の変更や、アダプターDNAの配列の変更を試ることで、Hi-CO法の各ステップの改良を行いヌクレオソームの連結効率を上げる検討を行った。これらの改良を行った後に、増殖期と静止期の酵母を用いてHi-CO解析を実施した。その結果、プロモーター部分のヌクレオソーム高次構造が老化前後で大きく変化していた。増殖期の酵母では、多くの遺伝子のプロモーター領域において、ヌクレオソーム同士の相互作用が少なく、オープンな状態であるのに対し、静止期の酵母では、ヌクレオソーム同士の相互作用が増えており、ヌクレオソーム同士が集まっていた。このプロモーター部分のヌクレオソーム高次構造の変化は、mRNA発現量と相関しており、老化に伴う遺伝子発現変化にゲノム構造が関与していることをヌクレオソームレベルで明らかにした。
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