2023 Fiscal Year Annual Research Report
イネ幼苗期のプラスチドゲノムコピー数を指標とした雑種強勢評価法の検討
Project/Area Number |
21K05513
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
久保山 勉 茨城大学, 農学部, 教授 (10260506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (10305162)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 雑種強勢 / ヘテロシス / DNAメチル化 / イネ / 初期生育 / rDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は当初テーマをプラスチドDNAコピー数が雑種強勢程度と対応して増加する現象に扱うことになっていた.しかし,これは相対量を測定するのに用いた対照遺伝子を18S rDNAにしたことによる誤りで,雑種においてプラスチドDNAコピー数に変化はみられなかった.このことは,裏を返せば対照に用いた18S rDNAのPCR増幅量が両親と雑種で異なり,雑種では増幅しにくいことを意味していた.これまでPCR増幅に影響するDNAの状態変化にはメチル化の報告があった.そこで,両親と雑種で18S rDNAのPCR増幅に違いがみられた播種後5日目のイネで雑種強勢程度の異なる5つの交雑組合せにおいて18S rDNAのメチル化を調査した.抽出されたDNAを用いてバイサルファイト処理した後,メチル化特異的primerと非メチル化特異的primerをそれぞれ用いてPCR増幅を行い2つのPCRの増幅の違いからメチル化レベルの評価を行うMSP法を行った.その結果,18S rDNAのメチル化レベルは系統間で差があり,5日目のメチル化レベルと10日目の植物の生体重の間に相関関係がみられ,メチル化レベルが高いと生体重が重くなる傾向がみられた.さらに 台中65号(T65)とWRC13,WRC01,WRC02を交雑した組合わせにおいては18S rDNAの5′領域 571 bpについてバイサルファイトアンプリコンシーケンス(BSAS)解析を行った.その結果はMSP法による結果と一致し,顕著な雑種強勢が認められるT65xWRC13の雑種では両親に比較してCG, CHG, CHHのいずれにおいてもメチル化レベルの上昇が認められた.このことはイネの初期生育や生体重の制御に18S rDNAのメチル化レベルが関与している可能性を示すものと考えられた.
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