2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K05514
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 将之 富山大学, 学術研究部理学系, 講師 (10456402)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リグナン / ゴマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではゴマリグナン(セサミン、セサモリン、セサミノールなどゴマ種子に蓄積するリグナン)の総含量決定の分子機構の解明を目的に、ゴマリグナン生合成や蓄積にかかわる遺伝子の同定を試みている。 ・ゴマリグナン総含量を制御する候補遺伝子の探索 これまでに行っていた異なるリグナン総含量を示す2系統の交雑に由来する遺伝集団を用いたQTL seq解析を進めたところ、約8 Mbpのゲノム領域に総含量の高低に関与する原因遺伝子が座上することが示され、この領域中の1つの酵素遺伝子はリグナン総含量が高い系統と低い系統の間で多型が存在した。この遺伝子に加えて、リグナン含量に影響を与えると報告されている転写因子に関して、高リグナン系統に共通して見出される新たなアレルが見出された。そこで、当初予定していたゲノムワイド関連解析による候補遺伝子の探索から計画を変更して、これら2遺伝子の解析を進めることにした。リグナン総含量の異なる系統を数十系統選び、候補遺伝子の遺伝子型を決定したが、これら遺伝子がリグナン含量の決定に関与するという明確なデータは得られなかった。今後はこれら遺伝子の遺伝子型とリグナン含量の間の関連性について詳細な解析を行うとともに、QTL seq解析で同定されたゲノム領域中に存在する別の候補遺伝子についても解析を行う。 ・セサミノール生合成系遺伝子の探索 本研究では新規セサミノール生合成遺伝子の探索も試みている。前年度までに行ったセサミノール高含有系統と低含有系統の登熟種子を用いたRNA seq解析のデータを用い、候補遺伝子の探索を行った。その結果、1つの低含有系統から他の系統には存在しないアミノ酸置換が認められる酵素遺伝子を見出した。この遺伝子の野生型アレルに関して、in viroで酵素活性を調査したが、セサミノール合成活性は検出されなかった。今後は他の候補遺伝子の探索を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではゲノムワイド関連解析を行う予定であったが、他の解析により有力な候補遺伝子・領域が示されたたため、計画を変更して解析を進めることにした。本年度では原因遺伝子の同定はできなかったが、更なる解析を行うことで同定できる可能性が高いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゴマリグナン総含量を制御する候補遺伝子の探索 上述のように、これまでに2種の候補遺伝子が見出されている。これら候補遺伝子がリグナン総含量の決定に関与するかを遺伝学的手法を用いて調査する。2種の候補遺伝子について異なるアレルを持つ系統の交雑に由来する遺伝集団から、候補遺伝子領域近傍で染色体の組換えが生じている個体を複数選抜し、それら個体の遺伝子型とリグナン総含量との間に連関があるか否かを調査する。また、QTL seq解析で絞り込まれた候補領域に関しても、同様に組換え個体の遺伝子型とリグナン総含量との間の連関を調査することで、他の候補遺伝子が存在するか否かについても調査を行う。解析に用いる遺伝集団の親系統について、登熟種子のRNA seq解析も行い、候補遺伝子の絞り込みに用いる。その後、絞り込んだ遺伝子に関して、酵素活性の調査などの機能解析を試みる。 セサミノール生合成系遺伝子の探索 これまでに行ったRNA seqの結果をもとに、セサミノール生合成系遺伝子の探索を引き続き行う。また、セサミノール高含有系統と低含有系統の交雑に由来する遺伝集団を育成し、セサミノール含有量に関するQTL seq解析を行い、候補遺伝子を探索する。両解析により見出された候補遺伝子の酵素活性の調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画ではゲノムワイド関連解析を行う予定であったが、研究計画を変更し異なる解析を行った。研究計画の変更に伴い、新たにQTL seq、RNA seq解析を行う必要が生じたが、R5年度に行うこととし、使用予定の金額を次年度に繰り越した。
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