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2023 Fiscal Year Research-status Report

コムギのNucleolar Dominanceからみた異種ゲノム調和機構の解析

Research Project

Project/Area Number 21K05518
Research InstitutionKyoto Prefectural University

Principal Investigator

半田 裕一  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20343957)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
KeywordsNOR / Nucleolar Dominance / ゲノム特異性 / コムギ / rDN unit / 可逆的遺伝子発現
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、生育ステージによりNucleolar Dominanceの状況が変化するかを、4週齢の第3葉期と13週齢の茎立ち期のサンプルを使って発現解析を行った。その結果、Subtype 1が最も発現していることは共通であるが、Dゲノム特異的なSubtype 3及びSubtype 6の発現量にはステージによって差が見られ、Dominaceの状況は生育ステージにより変化する可能性が示された。一方で、Aゲノム特異的なSubtype 5の発現はいずれのステージでも見られなかった。この結果は、6倍体コムギにおけるNORの発現はB>D>Aという順番に発現が制御されていることを示しており、Dominanceに関してゲノム間に階層的な順位があることを示唆している。また、以前の実験と同様に1Bと6Bの短碗欠失によるDominance解除の強さにはステージが異なっても差があることが示され、1BによるDominanceが6Bよりも強いことはステージに関わらず共通することが明らかとなった。
現在、倍数性進化の過程に沿ってサブゲノムNORの発現変化を追いかけるために、A及びDゲノムを持つ2倍種から、4倍種、6倍種と進化に沿った系統、さらに人為的に作成された合成6倍体種を用いて各NORの発現状況の比較解析に着手した。その際、ゲノム特異性を高めるために各サブタイプ特異的なプライマーの再設計を行った。新設計のプライマーは以前よりゲノム特異性が向上していることが確認でき、今後の発現解析に用いることとした。また、予備的実験として、1B染色体の部分欠失系統を用いて、Dゲノム特異的Subtypeの発現変化を追跡したところ、NORの有無だけによるのではなく、NORを除いた短腕部にもDominanceの制御領域がある可能性を示す結果を得た。今後、詳細な解析を行っていく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究計画の第1段階である「NOR特異的なrDNA unitサブタイプ構成の把握」は終了し、第2段階「染色体腕や領域の欠失等に伴う、サブタイプ構成とrDNA unit発現量の変化」から第3段階「ND制御領域同定に向けたNOR周辺領域の構造解析」に向けた研究を展開中である。成績の概要で述べたように、Nucleolar Dominanceの状況が生育ステージにより変化することや、部分欠失系統を用いたNucleolar Dominance制御領域の解析により、NOR外にも制御領域がある可能性が示唆されているなど、当初計画よりは若干遅れているものの、成果は順調に得られつつあるものと考えている。

Strategy for Future Research Activity

最終年度として、まず、予備的なデータが得られた生育ステージごとのNucleolar Dominanceの状況について、これまでの第3葉期と茎立ち期に加え、止め葉期のサンプルを用いて、各Subtypeの発現変化を明らかにしていく。また、コムギの成立過程でそれぞれのサブゲノム上のNORの発現がどのように変化してきたかを明らかにするため、A及びDゲノムを持つ2倍種から、4倍種、6倍種と進化に沿った系統及び人為的に作成された合成6倍体種を用いて、各NORの発現状況を解析するととも、そのデータを現行の6倍体品種と比較して、進化過程で何が起こったかを明らかにしていく。さらに、部分欠失系統については、解析系統を増やして、より細かい範囲での欠失に伴うNucleolar Dominanceの変化を明らかにして、Dominanceを制御している領域の絞り込みを行う。特に、NORより動原体側の短腕部の働きに注目して解析を行う。
成果については、2024年9月に行われる3rd International Wheat Congressで発表するとともに、原著論文として取りまとめていく。

Causes of Carryover

プライマーの再設計等に時間を要し新たな実験に着手するのが遅れたため、当初予定より物品費の支出が少なくなったことや、旅費使用等の支出が少なかったことにより、結果として次年度使用額が生じた。次年度については、実験自体が順調に進んでいることや、国際学会での発表を予定していること(すでに登録済み)していることから、当初計画通りの使用となるものと見込んでい る。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] コムギのrDNAユニットにおけるバリアントと生育に伴う発現の変化2023

    • Author(s)
      日向陽汰、半田裕一
    • Organizer
      第18回ムギ類研究会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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