2021 Fiscal Year Research-status Report
Mathematical Modeling to Evaluate Environmental Responsiveness of multiple QTL for flowering time Using Dual-NAM Population
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21K05522
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
齊藤 大樹 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 任期付研究員 (10536238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 諭志 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (50792652)
土井 一行 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (80315134)
阿部 陽 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 主席研究員 (80503606)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 出穂期 / 環境応答性 / 数理モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
イネにおいて出穂期は品種の地域適応性を決定し、生産性に寄与する最も重要な農業形質の一つである。これまでイネの出穂特性に関する分子遺伝学的研究が行われ、多数の遺伝子が同定・単離されている。しかし、どのような出穂期遺伝子ハプロタイプセット(各遺伝子座の対立遺伝子の組み合わせ)を選択すれば栽培環境や作型に適応するのか明らかにされていない。品種の地域適応性に深く関与するイネの出穂期を制御する遺伝的多様性を明らかにし、環境条件に対する応答性を明らかにすることは、新たな環境条件に適応する品種を迅速に育成する上で重要な知見となる。本研究は、世界各地域の栽培暦や環境条件に適応する最適な出穂期遺伝子座のハプロタイプセットを選択できるようにするため、複数の遺伝解析集団を複数の試験地において、複数年栽培することによって得られるデータをもとに、出穂期遺伝子の環境応答性(特に日長反応性と温度反応性)を明らかにする数理モデルの構築を目指す。本年は、主に石垣市において、7つの遺伝解析集団を2つの作型で試験を行い、得られた結果を用いてQTL解析を実施したところ、それぞれ作型に特異的なQTLsならびに2つの作型に共通するQTLsを同定した。この結果は、イネの出穂期の制御において、環境不変的に機能する遺伝子が存在するとともに、環境条件に応じて出穂期決定に利用する遺伝子が異なることを示している。この発見は、イネ品種を育成する上で出穂期の改変に役立つ知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年の目標としていた石垣での2つの作型において、栽培試験を実施し、得られたデータを用いて、出穂期を支配する遺伝要因を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
石垣での栽培を継続するとともに、分担研究者が所属する研究機関 (岩手県北上市、愛知県愛知郡東郷町)においても、同じ遺伝解析集団を用いて栽培試験を実施する。また得られたデータを用いて、遺伝解析を実施するとともに、環境データ(気温、日長)を入手し、環境応答性に関するパラメーターについても同様に遺伝解析を実施し、同定されたQTLsの特徴づけを行う。
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Causes of Carryover |
栽培資材の購入を年2回予定していたところ、1回の発注でまとめて購入したため、ケース(箱)購入となり予定購入金額より下回った。栽培管理のうち、病害虫防除に予定していた農薬の購入について、想定より発生が少なかったため農薬の購入を見送ることができた。以上のことから、次年度使用額が生じた。 収穫前に鳥害の発生が目立ってきたことから、計画時に予定になかったが、鳥害対策に関する資材の購入を進め、試験が滞りなく進むよう準備を行う。
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