2023 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答欠如による根の伸長阻害を回復した突然変異植物の遺伝子機能解析
Project/Area Number |
21K05524
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
金 俊植 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (60769610)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NOBIRO / 小胞体ストレス応答 / 根の伸長制御 / ストレス応答性成長制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、3つのnobiro変異系統の原因変異を単離し、その分子メカニズムを解明することである。まず、nobiro6の原因変異が転写補因子TAF12bの機能欠損であることを明らかにした。nobiro6とその親株bz1728の網羅的遺伝子発現解析を行った結果、bz1728が示す過剰なストレス応答性遺伝子の発現がnobiro6では軽減され、小胞体の恒常性が回復し、根の伸長が改善されることが示唆された。 次に、nobiro1のゲノム再解読により、小胞体に局在する輸送タンパク質上のナンセンス変異を特定した。この原因変異を証明するために、三重機能欠損変異株bz1728nbr1を作成し、その根の伸長成長を評価した結果、発見した遺伝変異が単一原因変異であることが確認された。同様に、nobiro9の原因変異を探索し、三重変異株bz1728nbr9を作成した。bz1728nbr9の根はbz1728よりも長いが、nobiro9よりも短いことから、nobiro9の原因変異が複数存在する可能性が示唆された。 また、「先進ゲノム支援」の支援を受け、他の7つのnobiro系統の原因遺伝変異を探索し、5つの系統で原因変異を特定した。これらの新規原因変異候補をCRISPR/Cas9技術を用いて検証し、3つの新規原因遺伝子を特定することに成功した。さらに、nobiro1の原因変異がヒストンアセチル化酵素の一アミノ酸置換であることを明らかにし、網羅的遺伝子発現解析とヒストンアセチル化解析により、nobiro1ではクロマチンの解放と相関するアセチル化が有意に低下していることが観察された。 以上の研究により、複数のnobiro変異系統の原因変異を特定し、その分子メカニズムの一端を解明することができた。
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