2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of genes responsible for agronomic traits under reproductive stage in spinach, by using a high quality genome sequence.
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21K05525
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 康之 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (80374619)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ホウレンソウ / 生殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ホウレンソウの生殖関連形質制御遺伝子を効率的に同定するための環境整備として、これまでに構築したホウレンソウゲノム配列品質の高度化を試みた.Hi-Cリードを用いて、ドラフトゲノムアセンブリのスキャフォールディングを行い、さらにはSNP連鎖地図情報(Hirakawa et al. 2021)を用いて6本のPseudomoleculesから構成されるリファレンスゲノム配列(全長 875.6 Mb, BUSCO complete 95.8%)を構築した.このリファレンスゲノム配列を用いて、以前実施した系統間交雑後代(F2世代)の形質(雌性率)およびSNP情報を用いてQTL解析行なった結果,これまでに第2および第3連鎖群から同定されたQTL qFem2.1およびqFem3.1に加えて、第6連鎖群からQTL qFem6.1が同定された.また,QTL間の交互作用に基づいて,qFem3.1領域に間性決定を担う主働遺伝子(M)が座乗し,qFem2.1およびqFem6.1領域にはMに対する変更因子が座乗することが示唆された. 2.低雌花率間性系統03-336および雌雄異株系統03-009間のF2世代から,マーカーを用いて間性主働遺伝子(M)優性アレルのホモ接合体(MM株)を72個体選抜し,これらの雌花率を調査した.その結果,qFem2.1領域にMに対する変更因子が座乗することを支持する.さらに,F3世代を用いた解析からも,同様の結論を支持する結果が得られた. 3.先行研究(Hirakawa et al. 2021)において同定した抽苔性制御QTL qBt3.1およびqBt3.2領域に座乗するFTホモログの発現を調査した.その結果,QTL qBt3.1に座乗するコピーの発現が日周変動を示すことが判明し,先行研究(Abe et al. 2014)とは異なる結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筆者が保有するホウレンソウ系統のゲノム配列情報の高度化に成功した。 また、当初の予定通りに、間性主働遺伝子に対する変更因子の存在を裏付けるデータを得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.昨年度に構築した高精度ホウレンソウリファレンスゲノムに対して系統03-336(晩抽・低雌花率間性)および系統NIL-M(早抽・高雌花率間性)のゲノムのショートリードをマップし、系統間変異を網羅的に同定する.さらに、系統03-336およびNIL-Mの茎頂・花序および葉に関するRNAseq解析を実施する.次いで、系統間変異およびトランスクリプトーム情報に基づいて,間性決定を担う主働遺伝子(M)に対する変更因子に相当する遺伝子をQTL qFem2.1領域からの同定を試みる. 2. QTL qFem6.1領域を標的とするDNA多型マーカーを開発する.このマーカーを用いて,系統03-336および03-009間のF2世代から選抜した間性主働遺伝子(M)優性アレルのホモ接合体(MM株)(昨年度育成済み)の遺伝子型を調査し,qFem6.1領域にM遺伝子に対する変更因子が座乗する可能性について再検証を行う. 3.qBt3.1, qBt3.2領域に含まれるFTホモログのcDNA断片を35SCaMVプロモーターの下流に繋いだ融合遺伝子を,シロイヌナズナの野生株およびFT変異株(ft-10)に導入する.作出された形質転換体の表現型(抽苔時期)に基づいて,FTホモログの機能を評価する.
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Causes of Carryover |
当初,系統03-336および系統03-009間のF2世代から選抜した間性主働遺伝子(M)優性アレルのホモ接合体(MM株)のddRADseq解析を予定していたが、これを取りやめてqFem2.1領域のマーカー解析に切り替えたために経費を減らすことにつながった. その代わりに、今年度は雌花率、抽苔性に関するQTLの原因遺伝子の同定に向けてRNAseq解析を実施する.さらに,研究補助員への謝金、研究報告旅費および投稿論文校閲費にも研究費を充てることを予定している。
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