2022 Fiscal Year Research-status Report
抵抗性育種のためのオオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子の同定
Project/Area Number |
21K05536
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
大野 陽子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (00546369)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オオムギ縞萎縮病 / オオムギ縞萎縮ウイルス / 抵抗性育種 / 抵抗性遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
オオムギ縞萎縮ウイルスの増殖は生育環境に影響を受けることが昨年度の結果から示されたが、これまでウイルス量の変化と環境変化の詳細な対応づけがなされていなかった。そこで検定圃場へ播種(10月末)1ヶ月後から出穂後(4月中旬)まで二週間おきに、根と葉のウイルス増殖変化をqRT-PCR解析で調べた。その間の検定圃場地区の気温、湿度、地温(5cm)のデータとウイルス量の変化の対応づけを実施した。その結果、根では播種後5週間目から7週間目の間にウイルス量が上昇し、17週間目(3月上旬)までゆるやかに増え続けた。播種後5週間目の気温と地温は5℃前後であった。17週間目以降の気温は5℃、地温は10℃より下がることはなかった。よってウイルス増殖は、気温が5℃前後が適温であることが示された。葉では播種後7週間目から9週間目の間にウイルスは大きく増殖し、13週間目でピークに達し、その後緩やかに減少した。このことから、根で感染・増殖したウイルスが、葉へ移行・増殖するまで2週間程度の差があることが明らかとなった。ウイルスの感染・増殖・移行の過程で機能する抵抗性遺伝子が想定された。 今回の結果は、正確な罹病検定に寄与できる。これまでに採取したサンプル並びに同年度に採取した300のサンプルは適切な時期にサンプリングできたことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルス定量のためのサンプル採取が適切な時期であることをデータで裏付けた。
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Strategy for Future Research Activity |
採取したサンプルの解析を進め、成果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
保有していた試薬で賄える部分があり酵素などの購入が予定より少なくなったため、次年度のqRT-PCR解析費用に用いることとした。(当初はコストが低いのELISAで解析を進める予定だったが、検出感度が高いqRT-PCR定量にしたためコストがかかる。)
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