2022 Fiscal Year Research-status Report
イネ科作物細胞壁におけるフェルラ酸およびp-クマル酸エステルの機能解明
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21K05545
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
伊澤 かんな (佐藤かんな) 東京農業大学, 生命科学部, 准教授 (40456603)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞壁 / イネ / ソルガム / BAHD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イネ科植物に特有の細胞壁成分であるケイヒ酸エステル(フェルラ酸およびp-クマル酸エステル)の蓄積が、イネ科植物の形態や強度維持にどのように関与しているのかを明らかにすることを目的としている。特に、フェルラ酸およびp-クマル酸エステルの合成に関わるとされているBAHD遺伝子が、イネやソルガムの生育や強度に及ぼす影響を明らかにする。イネおよびソルガムのBAHD遺伝子の系統樹解析から、フェルラ酸およびp-クマル酸エステルの合成に関わるとされている5グループ12遺伝子を抽出した。データベースおよび発現解析より、節間(茎)で発現が高い4グループの遺伝子について、ゲノム編集による遺伝子破壊個体またはRNAiによる遺伝子発現抑制個体用のベクターと形質転換体の作製を行った。イネのゲノム編集系統では、1つのグループにおいて遺伝子配列が変化した個体を得ることができた。その他のグループについては遺伝子変異個体が得られなかったため、RNAiによる発現抑制個体を作製した。ソルガムは遺伝子導入が非常に難しく、グループIVの遺伝子についてのみ、RNAi形質転換系統が少なくとも2系統得られた。一部の系統では葉色の変化が認められており、BAHD遺伝子がイネ科植物の生育に関与する可能性が出てきている。今後は得られたゲノム編集個体およびRNAi発現抑制個体の生育解析および細胞壁の特性解析を進め、ケイヒ酸エステルの蓄積とイネ科植物の生育との関連を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は解析に用いるゲノム編集個体やRNAi発現抑制個体の作出と、得られた組換え個体の遺伝子解析を実施した。ゲノム編集およびRNAi発現抑制用のバイナリーベクターを作製し、アグロバクテリウム法によりイネ科植物への遺伝子導入を実施した。遺伝子導入個体を順調に得らることができ、さらに遺伝子解析から目的の遺伝子に変異が入ったゲノム編集個体や、RNAiによる発現抑制個体を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
目的のBAHD遺伝子に変異が入ったゲノム編集個体もしくはRNAiによる発現抑制個体を生育させて次世代の種子を得るとともに、出穂後の各器官におけるフェルラ酸およびp-クマル酸エステルの含有量を測定する。含有量と遺伝子型とを比較し、これらケイヒ酸エステルの蓄積に関わるBAHD遺伝子を特定するとともに、ケイヒ酸エステル蓄積が細胞壁形成や植物の生育に及ぼす影響を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
昨年度に研究中断期間があり、繰り越し分を今年度一部使用したものの今年度も次年度使用額が発生した。研究の実施内容には変更がないため、次年度以降の研究実施に必要な試薬や器具購入に充てる。
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