2023 Fiscal Year Annual Research Report
バイオスティミュラント資材の統合オミクス評価技術の開発
Project/Area Number |
21K05553
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
伊達 康博 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 主任研究員 (60585785)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオスティミュラント / 統合オミクス解析 / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的な人口増加や地球温暖化等に伴う食糧問題を解決するために、農業分野では作物の生産性の向上や効率化、付加価値の創出等が求められている。これらの課題を解決するための一方策として、植物の生産ポテンシャルを引き出すことが可能なバイオスティミュラント(BS)資材が注目を集めており、BS資材には、微生物や腐食物質・海藻等に由来する物質等、様々な種類・効能がある。しかしながら、BS資材の多くはその作用機序が不明瞭であり、栽培条件や栽培環境等に依存した効き目のバラつき・効果不全等が研究計画当初は問題となっていた。そこで本研究では、作物の収量や品質向上、ストレス耐性等々に資する可能性のある物質等を特定可能な統合オミクス評価技術の開発を目指した。 本研究では海藻系BS資材を対象として、ラボスケールで実験を実施しており、ビッグデータ時代に即して多サンプルをハイスループットに解析できるよう前処理・計測条件・分析プロトコル等の最適化および解析プログラムの整備を行い、作業の効率化を図った。コマツナを用いた評価試験では、部分的最小二乗法に基づく判別分析等の解析手法を用いることで、BS資材を使用した実験区と対照区における代謝プロファイルの違いを識別することが可能であった。また、統合解析の結果からコマツナの収量と相関する物質群を網羅的にスクリーニングすることができ、本手法を用いることで海藻系BS資材を評価することが可能であった。本研究ではラボスケールでの評価を行ったが、今後は実用化を視野に入れて圃場レベルでの実証試験や、コマツナ以外の作物、あるいは海藻系以外のBS資材への適用可能性について検証を行う必要があると考えている。
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