2021 Fiscal Year Research-status Report
Verification of physiological response for the improvement of grape berry quality by air cooling mist solution.
Project/Area Number |
21K05562
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 礼子 (池上礼子) 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00549339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 龍平 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70294444)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ブドウ / 品質改善 / ドライミスト / 温暖化 / 成熟制御 / ベレゾーン |
Outline of Annual Research Achievements |
果実の市場価値は、外見および食味に依存するが、中でも着色は価格決定に重要である。ブドウの着色は、遺伝的背景をもとに、環境要因である光、温度、樹勢(施肥や剪定、潅水などの栽培管理により調節される)などが複雑に作用して決定されるが、特に近年では温暖化による影響を受けて高温による着色不足が問題となっている。本研究では、労働環境の改善はもとより果実の周囲温度を下げることで着色促進効果があるドライミスト装置を用いて、処理時期や品種による果実品質改善効果の違いを検証して栽培管理に必要な知見を得るとともに、これらの差異をもとに果実の成熟開始に関する生理学的知見を深めることを目的とする。 京都大学附属木津農場植栽の6 年生根域制限樹の赤色系品種(成熟後期に着色の進まない‘安芸クイーン’、 ‘ゴルビー’と着色が比較的良好な‘クイーンニーナ’)にパナソニック製のドライミストを設置した。べレゾーン直前(2~5日前)より28日間処理区(6月23日から7月21日;処理区1)、べレゾーン後(1~4日後)より収穫期まで(6月29日から8月28日;処理区2)の2処理区を設け、9時から18時まで9時間の処理を行った。処理区1については処理終了まで1週間おき、処理区2ついては、10日おきに5回サンプリングを行い、糖度、酸度、着色開始からはアントシアニン含量を調査した。両処理区ともに収穫期に果実品質調査を行った。 本年度は、着色期(8月)が多雨で湿度が高かったことと、ハウスの内側の主枝に処理を行ったため、ハウスサイド側の主枝部の房の着色が良好となった影響もあり、いずれの品質調査項目においてもミストの処理効果がみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はベレゾーン一週間前から処理試験をする予定であったが、4月に交付決定を受けてからドライミスト導入まで、研究機関を経由する諸手続きに時間がかかり、購入・設置がべレゾーン直前となった。また、京都木津ではベレゾーン前後は梅雨時期にあたり、梅雨明けまで湿度が高く、さらに、降雨が多い今年のような年にはミスト処理の効果があまり得にくいためか、着色の改善など果実の品質向上がみられなかった。このような理由で、現時点では、費用対効果が低いドライミストの一般農家への普及は難しく、実用化にはさらなる工夫が必要であると考えられる。 8月に独立基盤形成支援の交付決定を受け、高糖度で果皮の薄い黄緑色系品種である‘シャインマスカット’への処理試験は2022年度からの実施として、パナソニックよりも比較的安価で装置が扱いやすく、農場分野で展開がある霧のいけうち社から購入し設置するとともに、両社のドライミストに温湿度制御装置も設置した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は温湿度制御設置により効果的なドライミスト処理ができると考えている。また、本年度、ドライミストの連日処理により見られた黒カビ様の細菌感染によると考えられる汚損果を減らせると考えている。本年度試験の結果より、ドライミストによる温度の低下は晴天時でも3から4℃であり、着色改善に効果があるかは未だ不明である。ミスト処理の効果が得られない際には、予定していたRNAseqや植物ホルモンなどの解析は行わない。 代わりに、これまで予備的に試験を行ってきた成熟開始にかかわる制御因子の探索のため、‘シャインマスカット’を用いたベレゾーン開始期の一粒ごとの果実の分析調査や、果実の成熟後期に着色が優良であるという形質を持つ品種の探索など、果実成熟や着色促進技術にかかわる研究を別の視点からも進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初予測していたドライミストとその関連消耗品の購入費が多大にかかり、購入予定であった凍結乾燥機を諦め、別の物品等を購入した。他にも購入したい機器があるが本年度残額では足りないため次年度に繰り越した。
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[Journal Article] Sat-BSA: an NGS-based method using local de novo assembly of long reads for rapid identification of genomic structural variations associated with agronomic traits2021
Author(s)
Tenta Segawa, Chisato Nishiyama, Muluneh Tamiru-Oli, Yu Sugihara, Akira Abe, Hinako Sone, Noriaki Itoh, Mayu Asukai, Aiko Uemura, Kaori Oikawa, Hiroe Utsushi, Ayako Ikegami-Katayama, Tomohiro Imamura, Masashi Mori, Ryohei Terauchi, Hiroki Takagi
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Journal Title
Breeding science
Volume: 71
Pages: 299-312
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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