2023 Fiscal Year Annual Research Report
Verification of physiological response for the improvement of grape berry quality by air cooling mist solution.
Project/Area Number |
21K05562
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 礼子 (池上礼子) 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00549339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 龍平 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70294444)
長坂 京香 京都大学, 農学研究科, 助教 (00931388)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ブドウ / ドライミスト / 品質改善 / 着色 / 成熟開始 / 温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブドウの着色は、遺伝的背景をもとに環境要因である光、温度、樹勢などが複雑に作用し決定されるが、近年は高温による着色不足が問題となっている。 本研究では申請当初、果実の周囲温度を下げることで着色促進効果があると報告されたドライミストを用い、処理時期や品種による果実品質改善効果の違いを検証し栽培管理に必要な知見を得るとともに、果実の成熟開始に関する生理学的知見を深めることを目的とし、京都大学附属木津農場植栽の根域制限樹の赤色系品種 ‘安芸クイーン’、‘ゴルビー’と‘クイーンニーナ’について2021年から2年間、 ‘シャインマスカット’は2022年に処理試験を行った。なお、2022年には温湿度による制御装置を設置した。両年共に、処理区では果実周囲温度をおよそ3-5℃低下させたものの、どの品種においても着色改善効果が得られなかった。また、果実着色に重要とされるベレゾン前後は梅雨にあたり湿度が高く、ミストの気化熱吸収作用による温度低下効果が得られにくいと考えられた。本試験で用いたドライミスト装置は、一般価格帯でのブドウ栽培への導入には採算が合わないが、高い気化熱吸収効果が期待できる気候条件下において、より高単価が設定できる、あるいは単年での連作が可能な作物等へ応用できる可能性が考えられる。 上記のように、本試験ではブドウの着色促進効果が得られなかったため、2023年については、①果実の成熟開始決定の制御因子単離のためのオミクス解析に用いるサンプルの採取・評価をし、成熟開始であるべレゾン10日前から‘シャインマスカット’について一連のサンプルシリーズを得た。また、②着色不良が問題となる‘巨峰’に類縁関係をもつ品種群の内生ABA含量の経時的な測定を行った結果、着色不良の一因と考えられる成熟後期にABAが低下するという形質が、ヨーロッパブドウ由来で顕性であるという可能性を仮定した。
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Research Products
(3 results)