2022 Fiscal Year Research-status Report
花被片の展開を制御するジャスモン酸合成の多様性の理解と八重咲き花育種への展開
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21K05563
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北村 嘉邦 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (90578139)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジャスモン酸 / 花被片 / ユリ / 花器官 |
Outline of Annual Research Achievements |
概要:昨年に引き続き,八重咲きユリでのジャスモン酸合成に関わる花器官の特定に向けて調査を継続した.主にはジャスモン酸合成系遺伝子群の発現解析と,ジャスモン酸蓄積が認められる花器官の解析である.ユリの八重咲き品種には,一重咲きと同様に明確な4つのwhorlが小花に認められるアジアティック型と,明確なwhorlが認められないローズリリータイプがある.本年度の調査では,アジアティック型を用いて調査を進めた. ジャスモン酸合成系遺伝子群の発現解析:花被片,雄蕊の花糸,心皮の3つについて,ジャスモン酸合成系遺伝子群の発現を解析した.一重咲きユリ品種を用いた昨年までの調査では,花蕾からの花器官除去実験の結果から雄蕊の花糸でジャスモン酸が合成されている可能性を認めた一方で,ジャスモン酸合成系遺伝子群の発現が花糸で特に高くはなかった.アジアティック型の八重咲き品種を用いた調査では,花器官除去実験においてはwhorl3の花器官の除去によって明確に歌碑編の展開が抑制された.よって,アジアティック型の八重咲きユリにおいては弁化した雄蕊がジャスモン酸合成に関わることが強く示唆された.一方で,発現解析の結果では,ジャスモン酸合成系遺伝子群の発現がwhorl 3の花器官で特に高くはなく,花器官除去実験と発現解析の結果に一貫性が認められなかった.これは,上記の一重咲きユリで得られた結果と同じ傾向であった. ジャスモン酸蓄積の解析:花被片と心皮ではジャスモン酸は検出されないか非常に低い蓄積量を示した.一方で,whorl3に形成された弁化した雄蕊については,ジャスモン酸が高蓄積しているサンプルと他のwhorlの花器官と同程度の蓄積量を示すサンプルが混在していた.ユリの小花では雄蕊が6本形成される.弁化前の雄蕊の形成位置の違いがジャスモン酸の蓄積量に影響している可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジャスモン酸合成系遺伝子群の発現解析の結果は予想と異なっている.一方で,雄蕊の形成位置とジャスモン酸合成との関係に新たな知見が隠されている可能性を認めており,質的な進捗が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
一重咲きおよびアジアティック型八重咲きユリから,雄蕊あるいは弁化したwhorl3花器官のサンプリングを進めている.これらについてジャスモン酸の蓄積量の解析を進めていく.
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Research Products
(1 results)