2021 Fiscal Year Research-status Report
Searching CMS causative gene and identifying fertility restorer gene in citrus
Project/Area Number |
21K05570
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
後藤 新悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (60433215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カンキツ / 雄性不稔性 / CMS / ファインマッピング / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、目的1として、稔性回復遺伝子の同定をアプローチ1「ファインマッピングによる稔性回復遺伝子の同定」とアプローチ2「MS-P1 PPR1が原因遺伝子の最有力候補であることを示す」の2つの戦略で進めることを、目的2として、「雄性不稔型細胞質由来ミトコンドリアゲノムの塩基配列解読を行い、CMS原因遺伝子の探索を行う」ことを計画している。 今年度は、目的1アプローチ1では、944実生(19の交配集団)を対象とし、SSR00220-4とSSR00432-1のマーカー間で組換えを起こしている実生を選抜することを、目的1 アプローチ2では、KO14と不知火のMS-P1 PPR1のプロモーター領域のクローニングをおこない欠損配列の同定を行うことを、目的2では、キシュウミカンのミトコンドリアゲノムをシークエンスすることを計画していた。 目的1アプローチ1について、計画していた944実生すべてからDNA抽出を完了した。453実生のジェノタイプをおこない、2つのマーカー間で組換えを起こしている4つの実生を選抜することができた。これら4実生の葯をサンプリング済みであり、雄性不稔性評価も進めているところである。 目的1アプローチ2について、MS-P1 PPR1のプロモーター領域のクローニングを試みたが、この領域をPCR増幅することができなかった。リファレンスとしてクレメンチンゲノムv1.0を用いたが、品種による配列情報の違いにより、プライマーが正しくデザインできなかった可能性がある。 目的2について、科研費応募締め切り後の2020年11月に中国の研究グループからウンシュウミカンと平戸文旦のミトコンドリアゲノム配列解読の報告があり、データベースへの登録がなされてしまっていた。そのため、キシュウミカンのミトコンドリアゲノム配列解読は中止した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々はカンキツ雄性不稔性がミトコンドリアのCMS原因遺伝子とそれに対する核側の1つの稔性回復遺伝子のモデルの存在で説明されるCMS遺伝モデルに従うことを明らかにしてきた。しかし、今回対象としている交配集団の中にこのモデルと一致しない実生が存在していた。すなわち、一部の品種において、我々が同定した稔性回復遺伝子座とは違う場所に稔性回復遺伝子座があることが示唆される。そのため、組換えが起きた実生を含む交配集団において、雄性不稔性と稔性回復遺伝子座のディプロタイプの相関を調べ、CMS遺伝モデルと一致しなければ、解析の対象から外す必要がでてきた。そこで、組換えが起きた実生を含む交配集団の実生全ての雄性不稔性を評価した。この作業のために、ジェノタイピングが遅れている。また目的1アプローチ2について、MS-P1 PPR1のプロモーター領域のPCR増幅することができなかったために、MS-P1 PPR1が第一候補遺伝子となりうるかどうかの検証が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
目的1アプローチ1について、引き続き、ジェノタイプをすすめ、2つのマーカー間で組換えを起こしている実生のスクリーニングを進めるとともに、雄性不稔性の評価も行う。目的1アプローチ2については、クレメンチン以外の品種のゲノム情報を参照し、MS-P1 PPR1が第一候補遺伝子となりうるかどうかの検証を進める。目的2については、公開されたミトコンドリアゲノム情報を使い、ゲノムの再編成によって出現したと推定される遺伝子の探索を行う。
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Causes of Carryover |
ミトコンドリアゲノム解読を中止としたため、次年度使用額が発生した。この予算は、ジェノタイプのマーカー作製やジェノタイプの試薬代として使用する予定である。
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