2022 Fiscal Year Research-status Report
Searching CMS causative gene and identifying fertility restorer gene in citrus
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21K05570
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
後藤 新悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (60433215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞質雄性不稔性 / PPR / 稔性回復遺伝子 / カンキツ / CMS / Rf / ミトコンドリア / DNAマーカー選抜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、目的1として、「稔性回復遺伝子の同定」、目的2として、「雄性不稔型細胞質由来ミトコンドリアゲノムの塩基配列解読を行い、CMS原因遺伝子の探索を行う」ことを計画していた。 目的1について、前年度までにMS-P1領域以外の場所にも稔性回復に関与している遺伝子座があることが示唆されていた。そのため、MS-P1以外の稔性回復遺伝子座をもつ集団を排除するため、交配集団の1葯あたりの花粉数の評価とMS-P1に位置するマーカーによるジェノタイピングを進めた。MS-P1領域には66遺伝子が予測されている。これらの中からアミノ酸配列から稔性回復遺伝子候補の絞り込みを試みた。他の作物の細胞質雄性不稔性の研究において稔性回復遺伝子はミトコンドリア移行シグナルをもつPentatricopeptide(PPR)ファミリー遺伝子であることが報告されている。そこで、MS-P1領域に位置する66遺伝子の中からPPRファミリー遺伝子の探索を行ったところ、10個のPPR遺伝子が予測されていた。また、そのうち3個がミトコンドリア移行シグナルを持っていた。さらに、雄性不稔性品種(雄性不稔性ディプロタイプ)と稔性回復品種(稔性回復型ディプロタイプ)において、RNAseq解析とqRT-PCRを発現解析によって、候補遺伝子を2つにまで絞り込むことができた。さらに、MS-P1領域がHT1ハプロタイプ(non-functional restorerof-fertility)ホモであるKO14とHT6ハプロタイプ(functional restorerof-fertility)ホモである口之津51号をPAC BIOのロングシークエンシングに供試し、2つの候補遺伝子周辺のゲノム構造の解析を試みた。その結果、HT1ハプロタイプの候補遺伝子周辺において欠損していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部の品種において、MS-P1とは違う場所に稔性回復遺伝子座があることが示唆される。そのため、組換えが起きた実生を含む交配集団の実生全ての雄性不稔性を評価していく必要があるため、研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ジェノタイプをすすめ、2つのマーカー間で組換えを起こしている実生のスクリーニングを進めるとともに、雄性不稔性の評価も行う。KO14と口之津51号のロングリードシークエンスデータの解析を進め、候補遺伝子周辺のゲノム構造を明らかにする。 目的2「雄性不稔型細胞質由来ミトコンドリアゲノムの塩基配列解読を行い、CMS原因遺伝子の探索を行う」に関しては2022年10月に中国のグループからミトコンドリアCMS原因遺伝子候補の報告があったため、この研究は中止することとした。
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Causes of Carryover |
PAC Bioのロングリードシークエンスが予想より格安で受託分析できたため、次年度使用額が発生した。この予算は、ジェノタイプのマーカー作製やジェノタイプの試薬代として使用する予定である。
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