2021 Fiscal Year Research-status Report
菌根を介したブルーベリーの土壌からのリン獲得機構の解明と栽培への応用
Project/Area Number |
21K05572
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
伴 琢也 東京農工大学, 農学部, 准教授 (20325046)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エリコイド菌根菌 / 難溶性リン |
Outline of Annual Research Achievements |
国内40地点に自生するツツジ科植物の根系より単離したエリコイド菌根菌200種をリン酸鉄を含有する培地で培養し,菌糸周辺に形成された透明帯の大きさを比較した.その結果,7種類の菌株にリン酸鉄の分解能があることが明らかになった.次いで,これら菌株をリン酸鉄を含む液体培地に接種し,培養した.目視により,白濁していた培養液が透明になったことを確認した.培養液の水溶性リン酸濃度をモリブデンブルー法で測定したところ,培養10日後において全ての液体培地の水溶性リン酸濃度が無接種と比較して有意に低いことが明らかになった.培養20日後において,EF1895株を培養した液体培地の水溶性リン酸濃度は対象区と比較して高い傾向にあった.以上の結果は,リン酸鉄の分解能を有するエリコイド菌根菌は溶解したリンを菌糸に蓄積するタイプと,菌糸周辺の水溶性リン濃度を上昇させるタイプに分類されることを示唆するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内に自生するツツジ科植物からリン酸鉄の分解能を有するエリコイド菌根菌が単離できた.初年度に予定していた国内ブルーベリー圃場の土壌中のリンの分布様式とエリコイド菌根菌の分布に関する調査はコロナ禍の影響を受け実施できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に単離・選抜した菌根菌について,これら菌株をツツジ科植物を始めとする数種の園芸作物に接種し,接種が植物体のリン獲得能におよぼす影響を調査する予定である. 2021年度に予定していた国内ブルーベリー圃場における難溶性リンの分布に関する調査について,コロナ禍の影響を受け,サンプリングを実施できなかった.2022年度以降に感染対策を万全としたうえで実施予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を受け,当初予定していた国内複数地点におけるサンプリングが実施できなかったため(2022年度以降に実施予定である).
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