2021 Fiscal Year Research-status Report
トウガラシにおいて高温下での着果性を決定づける2遺伝子座の特定
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21K05575
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 彬 京都大学, 農学研究科, 助教 (90895418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 着果不良 / 地球温暖化 / 施設園芸 / 高温期 / 花粉発芽率 / トウガラシ |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化による気温上昇が見込まれるため、多くの果菜類で減収が見込まれている。トウガラシは花粉媒介昆虫の利用などの着果促進処理を行わずに栽培されることが多い。そのため高温下でも着果促進処理を行わずとも安定的に着果する品種が切望されるが、ほとんど知られていない。申請者はトウガラシ‘Sy-2’と‘No. 3686’との交雑で生まれたF1雑種がハウス内で最高気温40℃を超える高温期にも着果促進処理なしで鈴なりに着果したことを見出した。一方で両親品種‘Sy-2’と‘No. 3686’は、多くの品種と同様、高温下でほとんど着果しない。さらにF1雑種の後代(F2)を用いる事で高温着果性と関わる2つの遺伝子領域を第6染色体上および第3染色体上に発見した。2遺伝子領域に高温着果性の原因遺伝子が座乗すると考えられたが、特定には未だ至ってない。そのため本研究では高温着果性を引き起こす2遺伝子を同定し、この現象の分子機構を解明することを課題とする。 本年度は第6染色体、第3染色体それぞれについて交雑集団を作成し、検証を進めた。F5-RILs系統間で、候補遺伝子領域内の特定の位置における‘Sy-2’アリルと‘No.3686’アリルの個体間で高温期の着果率および花粉発芽率を比較した。その結果、第6染色体では異なるアリルを持つ個体間に着果に差異が認められなかった4系統および僅かに差が認められた3系統が認められ、目的遺伝子は候補遺伝子領域内の約9.5 Mb範囲の2つの遺伝子マーカー間にある可能性が示唆された。また第3染色体では、5系統のRILsにおいてアリル間の有意差が認められなかったため、目的遺伝子は候補遺伝子領域内の約6.5 Mb範囲の遺伝子マーカーの間にあることが推察された。次年度もこれらの調査を継続し、反復をとって結果を確認する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補遺伝子領域内に多数の遺伝子マーカーを作出し、RILs系統の遺伝子型を判定できる体制を整えることができた。これらの遺伝子マーカーを利用して遺伝子型の選抜をした上で形質調査に臨む事で、当初の計画通り第1段階のファインマッピングを実施し、2遺伝子領域で目的遺伝子があると考えられる領域を狭めることができたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ファインマッピングの反復をとり、今年度に候補と考えられた遺伝子領域に目的遺伝子が座乗することを確認する。さらに年に1回しかスクリーニングできない圃場での実験に代わり、インキュベーターを利用した屋内での実験系を設計する。また着果や花粉発芽の調査の増加に対応するために、画像解析を調査の補助に利用できないか検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は別の実験機器で代用ができたためにインキュベーターの購入を見送ったが、次年度には購入する必要があるため繰り越して利用する予定である。
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