2022 Fiscal Year Research-status Report
着色と退色に着目したカーネーション花色制御機構の解明
Project/Area Number |
21K05586
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
近藤 万里子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 研究員 (50758795)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カーネーション / 花色 / 園芸学 |
Outline of Annual Research Achievements |
色素蓄積の多寡は、花色の濃淡を大きく左右する。本研究では、異なる温度・光条件で処理したカーネーション鉢花の花色、色素蓄積、遺伝子発現を比較し、(1)花弁退色に関与する遺伝子の同定と退色機構の解明、および(2)退色機構の植物における普遍性を明らかにすることを目標とする。(1)に関しては、本年度は異なる温度・光条件で処理した鉢物カーネーション小花の花弁着色部位からRNAを抽出するとともに、同じ小花の花色、花弁アントシアニン含量および糖質含量を測定し、各RNAサンプルに対応する形で花弁の表現型データを取得した。抽出したRNAについては次世代シーケンサーによる網羅的発現解析を実施し、得られた遺伝子発現データと各サンプルの表現型データを基に共発現解析を行った。現在は花色の変動パターンと類似した挙動を示す遺伝子群の絞り込みと、退色花弁に特異的な発現変動遺伝子(Differently Expressed Gene: DEG)の抽出結果から、花弁退色の原因遺伝子の探索を進めている。(2)に関しては、花弁退色がカーネーションにおいて普遍的な現象であるかを明らかにするため、複数の鉢物カーネーション品種を用いて温度・光条件が花色に与える影響を評価した。その結果、品種差異は認められるものの、①短期間であっても常温かつ暗黒条件への暴露は花弁退色を引き起こす作用があること、②低温条件は暗黒遭遇時の花弁退色を抑制する効果があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、本研究で使用予定であったカーネーション品種が廃盤となり、新たな供試品種を選定し直す必要が生じたことから、(1)花弁退色に関与する遺伝子の同定と退色機構の解明が当初予定より遅れている。一方、(2)退色機構の植物における普遍性の解明については、次年度以降に実施予定であった花弁退色の品種間比較を一年前倒しで実施している。以上を踏まえ、研究計画全体としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き花弁退色の原因遺伝子の絞り込みを行う。得られた候補遺伝子についてはクローニングを行い、定量的RT-PCRによる発現解析を行う。有望な候補については、一過的発現系による機能解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
RNA-seqの解析費用が当初想定していたよりも安価であったため、次年度使用額が生じた。次年度以降、分子生物学的解析に使用する。
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