2023 Fiscal Year Research-status Report
キク花芽分化の日長応答性を決定するアンチフロリゲン遺伝子の発現調節機構の解明
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21K05588
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中野 善公 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 上級研究員 (50442819)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日長反応 / 開花抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
短日植物であるキクの光周性花成を制御する鍵遺伝子である「アンチフロリゲン」について、日長応答性を担う遺伝子上流の発現調節領域に着目し、その発現機構を明らかにする。長日条件のキクの葉においてアンチフロリゲンの発現が誘導される機構を明らかにすることで新規な学術的知見となり、ひいては実用技術の提案が可能となる。本応募課題ではAFT遺伝子近傍の日長応答配列の同定と、それに作用し発現を制御する転写因子の解明に取り組み、光周性花成の理解を深めることを目的とする。 昨年度までに、AFT遺伝子上流とGUSレポーター系の実験によりAFT遺伝子の日長応答領域を40塩基程度にまで絞り込み、酵母ワンハイブリッドによりその領域に結合する可能性のある転写因子の遺伝子断片得ている。 今年度は初めに、当該転写因子の全長を3’RACE法、5’RACE法によって単離した。次に酵母ワンハイブリッド実験により結合活性の再確認、日長応答領域における結合に必要な配列を明らかにした。また、愛媛大の有するαスクリーン技術でタンパク質ーDNA相互作用を確認するためのプラスミド構築を行った。さらに当該転写因子の、過剰発現、検出のための抗体タグをつけたタンパク質発現、発現抑制(RNAi)、それぞれの遺伝子組換え株の作出に着手した。過剰発現株、タグ付き発現株については4系統以上が得られており、RNAi株についてはR5年3月の時点で作成中である。次年度はこれらの株を用いて開花の表現型を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子組換え体の作出のための材料の確保(野生型の無菌栽培)に時間がかかり、R4年度中に作出が完了できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた遺伝子組換え系統を活用して、AFT遺伝子の日長応答における当該転写因子の寄与程度、作用機作を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究計画の進捗で書いたとおり、遺伝子組換え株の材料を揃えることに時間がかかり、実際の作出が遅れ、特性解析に進めなかった。次年度は遺伝子発現の定量化、多数サンプルの核酸抽出処理等の特性解析を行うために必要な物品の購入に予算を用いる。
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