2021 Fiscal Year Research-status Report
EPH1による花弁老化機構の新規化合物を用いた一般性の解明
Project/Area Number |
21K05589
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
渋谷 健市 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 連携調整・専門役等 (10462532)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 花弁 / 老化 / NAC転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにアサガオの花弁老化を制御する新規遺伝子EPH1を特定し、EPH1の発現を抑制したアサガオでは花の寿命が2倍以上に延長することを明らかにしている。本研究では、EPH1阻害化合物を用いて、EPH1による花弁の老化制御機構が被子植物で一般的か明らかにする。 R3年度は、阻害化合物の作用機序を解明するために、阻害化合物のEPH1タンパク質における作用部位について解析した。また、阻害化合物を処理した花弁においてRNA-seq解析により発現様式を解析した。 EPH1タンパク質はNAC転写因子の一種であり、NAC転写因子は高度に保存されたN末のDNA結合領域と天然変性しているフレキシブルなC末端からなっている。また、DNAとの結合にはNAC転写因子タンパク質の二量体化が必須であることが知られている。本研究では無細胞タンパク質合成系を用いてEPH11タンパク質を合成し、EPH1タンパク質が二量体を形成すること、また、EPH1タンパク質とDNAとの結合には二量体化が必須であることを明らかにした。さらに、EPH1阻害化合物のEPH1タンパク質における作用部位を明らかにした。 阻害化合物を処理した花弁においてRNA-seq解析および遺伝子オントロジー解析を行った。無処理の花弁では花弁の老化時に細胞死やタンパク質の分解に関与する遺伝子の発現が上昇したが、化合物を処理した花弁では細胞死関連遺伝子、特にオートファジー関連の遺伝子発現が有意に抑制されていた。さらに、EPH1遺伝子をノックアウトした植物の花弁でRNA-seq解析を実施し、現在データを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度は、EPH1阻害化合物の作用機序を解明するために、EPH1阻害化合物のEPH1タンパク質における作用部位の解析、および、化合物を処理した花弁と、ゲノム編集によりEPH1遺伝子をノックアウトした植物体の花弁でRNA-seqによる網羅的な遺伝子発現解析を行う予定としていた。これまでに、EPH1タンパク質が二量体を形成すること、および阻害化合物のEPH1タンパク質における作用部位を明らかにした。また、化合物を処理した花弁と、ゲノム編集によりEPH1遺伝子をノックアウトした植物体の花弁でRNA-seqを実施したことから、研究はおおむね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通り、EPH1阻害化合物の作用機序の解明とEPH1の花弁老化制御における一般性の検証を進める。
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Causes of Carryover |
物品が当初計画よりも安価に購入できたため。次年度は研究計画に沿った遺伝子解析の試薬代として使用する。
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