2022 Fiscal Year Research-status Report
植物葉面細菌の6型分泌系を利用した植物細菌病害の防除技術の開発に資する基盤構築
Project/Area Number |
21K05592
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
古谷 綾子 茨城大学, 遺伝子実験施設, 助教 (30570270)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 6型分泌系 / 葉面細菌 / 植物細菌病 / 病害防除 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、アブラナ科植物の葉面より細菌を分離し、分離株の中からアブラナ科黒腐病菌(Xanthomonas campestris pv. campestris: Xcc)の発光変異株と寒天培地上で混合培養するとXcc由来の発光がほとんど観察されなくなる、すなわち、Xccの増殖を抑制すると推測される株をいくつか選抜していた。また、葉面細菌の選抜株をXccと宿主ハクサイに混合接種したところ、Xcc単独接種時と比べて発病が抑制されることを確認していた。 本年度は、まず、昨年度までに選抜していた葉面細菌がXccの増殖を抑制するかを確認するために、抗生物質耐性に基づいた細菌間競合試験を行った。テトラサイクリン耐性のXcc発光変異株と同抗生物質に対して感受性の葉面細菌を抗生物質無添加の寒天培地上で一晩培養後に生育してきた細菌コロニーを滅菌生理食塩水で懸濁し、段階希釈したものをテトラサイクリン添加培地に滴下し、一晩培養後の細菌の生育を確認した。その結果、Xccは葉面細菌と混合培養後においても、単独培養時と同程度の生育を示し、選抜していた葉面細菌は当初の期待に反してXccの増殖を抑制しないことが明らかとなった。一方で、選抜していた葉面細菌のうちの1株(Mi1-2A)は、Xccと同様にアブラナ科植物を宿主とするアブラナ科黒斑細菌病菌(Pseudomonas syringae pv. alisalensis: Pcal)や6型分泌系を介した細菌間競合試験において獲物細胞(prey株)として用いられる大腸菌DH5α株の増殖を抑制することが確認された。 Mi1-2A株の全ゲノム解析を行ったところ、6型分泌系をコードする遺伝子クラスターを有することが確認された。そこで、次年度は、Mi1-2A株がアブラナ科黒斑細菌病の抑制効果を有するかを調査するとともに、6型分泌系との関連を検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要にも記したように、当初の計画では、Xccの増殖を抑制する葉面細菌の選抜をXcc発光変異株と混合培養後の発光レベルに基づいて選抜する予定であった。しかし、昨年度までに選抜していた葉面細菌を用いて、本年度、抗生物質耐性に基づいたXcc vs 葉面細菌の細菌間競合試験を行ったところ、選抜していた葉面細菌がXccの増殖を抑制しないことが明らかとなってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、Xccにより引き起こされるアブラナ科黒腐病を本課題の対象病害としていたが、研究計画を一部変更し、今後はPcalにより引き起こされるアブラナ科黒斑細菌病を対象病害とする。
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