2021 Fiscal Year Research-status Report
イネ病害抵抗性に重要な新奇ホルモン間クロストークを制御する因子に関する研究
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21K05599
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
五味 剣二 香川大学, 農学部, 教授 (50511549)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジャスモン酸 / サリチル酸 / イネ病害抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の主要作物であるイネにおいて、病害抵抗性誘導に重要な植物ホルモンであるジャスモン酸(JA)とサリチル酸(SA)のホルモン間クロストークについては未解明な部分が多い。しかも、イネは他の植物とは違う独自のホルモン間クロストーク機構を獲得していることがわかり始めている。本研究では、SAのメチル体であるMeSAによる新奇JA-SAクロストーク制御機構を分子レベルで解明し、イネホルモン間シグナル伝達機構に対する独創的・先駆的な研究を格段に発展させ、イネが独自に獲得した新奇抵抗性誘導機構の発掘を行う。 今年度は、初期に設定した研究計画通りに研究が進み予定通りの成果を得ることができた。具体的には以下のとおりである。 ①サリチル酸メチル(MeSA) によるCommon Defense System(CDS)制御機構の解明 今年度は、昨年度までの予備実験で得られていた、JA応答性SAメチル化酵素遺(OsBSMT1)過剰発現イネを用いた実験結果の再現性を確認するすることから始めた。その結果、OsBSMT1過剰発現体では、MeSAが高蓄積しており、イネ白葉枯病抵抗性を誘導し、多くのCDSマーカー遺伝子の発現誘導が再現性良く見られた。それらCDS応答性遺伝子の中にはSAシグナルの中心的制御転写因子として知られているOsWRKY45も含まれていたため、イネ病害抵抗性機構において、CDSシグナル伝達機構が極めて重要であることが示唆された。また、本過剰発現体では誘導が認められなかったJA応答性防御関連遺伝子も再現性良く確認され、イネのJAシグナルには、CDS依存的経路と、CDS非依存的経路が存在することが示唆された。さらに、SAシグナルの制御因子であるOsNPR1の過剰発現体の作出にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理由 初期に計画した実験計画はすべて遂行され、全ての実験において良好な成果を得ることができた。また、次年度以降の研究に必要なOsNPR1過剰発現体等の作出も全て成功し、それら材料を用いた予備実験も初期の計画より前倒しで開始している。以上の理由から、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、想定以上の成果を得ることができ、次年度の研究計画も前倒しで始められているので、2022年度も初期の計画通り以上の成果が出るように実験を遂行していく予定である。特に2022年度はOsNPR1過剰発現体を用いた実験を重点的に行い、OsNPR1によって制御されているSAシグナルもCDS経路の一部であることを証明する予定である。
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Research Products
(2 results)