2022 Fiscal Year Research-status Report
トマトかいよう病の感染拡大シミュレーションモデルの確立
Project/Area Number |
21K05606
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
川口 章 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 上級研究員 (80520486)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トマトかいよう病 / SEIRモデル / 感染拡大シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
トマトかいよう病はトマトの安定生産を脅かす難防除病害であるが、圃場ごとに発病開始から感染の拡大,感染の終息の時期は異なるため、一律の防除対策が圃場ごとに適合せず、生産者は防除対策に苦慮している。昨年度までに既存の疫学モデルを活用して,栽培規模の異なる圃場ごとに発病の推移をシミュレーションできるモデルのSIRモデルを開発した。しかしながら潜在感染株のパラメータがなかったため、現場で適用できるレベルのモデルとしては課題を残した。そこで、トマトへの病原細菌の接種試験等を行い、潜在感染の期間が10日であることを明らかにした。そのパラメータを用い、SIRモデルに潜在感染株のカテゴリーを加えたSEIRモデルへの当てはめを行った結果、SEIRモデルにも適合した。さらにそこから、文献調査および考察を続けた結果、一次伝染からの感染確率のパラメータと、一次伝染および二次伝染に対して行う防除対策の効果を示すパラメータを組み合わせるという発想に辿り着き、新しい感染拡大予測モデルであるPHLIDモデルを開発した。このモデルを用いることで、複数の伝染経路を持つ植物病害の感染拡大シミュレーションを行うことが可能になった。さらに本モデルにより、一次伝染を抑制するための土壌消毒の効果と、二次伝染を抑制するための剪定ハサミの消毒効果の、それぞれの単独の防除効果と、組み合わせた場合の防除効果をシミュレーションできるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究計画では、SIRモデルを構築したのち、パラメータの調整を行いつつ、実際の発生現場における発病レベルにフィットするようなモデルへの改良を加えていく予定であったが、文献調査および考察を続けた結果として新しい着想を得たことで、SEIRモデルをベースとし、且つ一次伝染源のパラメータと、防除効果のパラメータを加え、感染拡大だけでなく防除効果も推定できる新しいモデルを研究2年目で構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新しいモデルの開発を先に進めたことにより、現地生産者の圃場への調査の旅費や消耗品購入の執行が予定より少なかった。本年度はすでに様式F-13-2のとおり海外における研究滞在等に伴う科学研究費助成事業補助事業期間延長承認申請書を提出しており、10月21日から研究を再開する予定である。今後は現場の発病データをフィッティングさせて、防除効果の推定についてモデルの検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新しいモデルの開発を先に進めたことにより、現地生産者の圃場への調査の旅費や消耗品購入の執行が予定より少なかった。本年度はすでに様式F-13-2のとおり海外における研究滞在等に伴う科学研究費助成事業補助事業期間延長承認申請書を提出しており、10月21日から研究を再開する予定である。使用計画は人件費、トマトかいよう病菌の接種試験に使用するためのトマト栽培用の消耗品、本病原菌検出のための遺伝子実験用の消耗品、現地調査および本課題に関連する研究集会への出席のための旅費、論文投稿に必要な経費の支出に充てる予定である。
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