2021 Fiscal Year Research-status Report
感染症対策に向けた日本産マダニ類全種の形態記載,宿主リスト,分布図の完備
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21K05612
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
山内 健生 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (00363036)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マダニ / 分類 / 形態 / 宿主 / 分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本産コウモリ寄生マダニの新宿主記録と新分布記録を報告した. タカサゴキララマダニAmblyomma testudinariumの飽血若虫から成虫への脱皮に至る形態の変化を以下のように記載した.飽血離脱後8~12日以上経過すると体表から点状に液体がにじみ出た.時間の経過と共に液体の量が増え,液体に黄色味が増した.そして,液体が乾燥してしばらくすると若虫の体の側面に裂け目が生じ,その裂け目を通って雄成虫が出現した. 本州のツバメ類の巣内より採集された吸血動物,および巣の新古による吸血動物相の違いについて調査した.ヒメダニ科のツバメヒメダニArgas japonicusはイワツバメ,コシアカツバメに寄生することが報告されていたが(山口,北岡,1980; 山内,2001),本研究で初めてツバメの巣において生息が確認された.ツバメヒメダニは,ツバメの新しい巣(巣を撤去した年に営巣)からは得られなかったが古い巣(以前からあった巣の上に営巣され,巣を撤去した年まで使用)から採集され(検出率は両種とも12.5%),新しい巣と古い巣における検出率に有意差がみられた.本研究によりツバメヒメダニは神奈川県及び静岡県から初めて記録された. その他,北海道東部を中心に野外調査を実施した他,研究室の未整理標本を整理した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症のため出張が困難であり,遠方でのサンプリングができなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
分類学的に未解決な部分が残っている日本産マダニ属,チマダニ属,カクマダニ属について分類学的な研究を進めることができるように新鮮な標本の入手を試みる.特に南西諸島を中心とした離島におけるマダニ相の解明を進めることで,こうした研究を進めたいと考えている.
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症のため、遠方での調査・学会参加ができなかったため次年度使用額が生じた。新型コロナ感染症が収まってきたタイミングをみて、遠方での調査・学会参加を行う予定である。
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