2022 Fiscal Year Research-status Report
感染症対策に向けた日本産マダニ類全種の形態記載,宿主リスト,分布図の完備
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21K05612
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
山内 健生 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (00363036)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マダニ / 分類 / 形態 / 宿主 / 分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
栃木県足利市においてイノシシとニホンジカに付着するマダニ類を調査し,南方系の種であるタカサゴキララマダニが当地に定着していることを明らかにした.従来,栃木県においてタカサゴキララマダニの記録はほとんど知られていなかった.ところが,近年,タカサゴキララマダニによる人体刺症が栃木県足利市などで多く発生していることを受け,同市の猟友会の協力のもと,捕獲されたイノシシとニホンジカの体表に付着するマダニ類を1年間にわたって調査した.その結果,イノシシからは多くのタカサゴキララマダニが採取され,タカサゴキララマダニが当地に定着していることを明らかとなった.この結果は,近年になってタカサゴキララマダニの分布が拡大し,従来は本種による被害がみられなかった地域においても本種による人体刺症が増加していることを示すものである. また,鳥取県初記録となるコウモリマダニを岩美町の洞窟内の壁面から記録した. さらに,マダニ媒介人獣共通感染症対策における統合的管理の課題について総説を発表した.野生動物におけるマダニと病原体の両方の発生を防止する生態系管理のあり方を明らかにするためには,さらなる研究が必要である.そのような対策は,生物多様性の保全に基づき,場合によってはゾーニングと組み合わせて行う必要がある. その他,北海道北部と東部を中心に野外調査を実施した他,研究室の未整理標本を整理した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症のため出張が困難であり,遠方でのサンプリングができなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
分類学的に未解決な部分が残っている日本産マダニ属,チマダニ属,カクマダニ属について分類学的な研究を進めることができるように新鮮な標本の入手を試みる.特に南西諸島を中心とした離島におけるマダニ相の解明を進めることで,こうした研究を進めたいと考えている.
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Causes of Carryover |
コロナのため、予定していた遠方への調査及び学会参加ができなかったため。今年度は遠方への調査及び学会参加が実施できる予定である。
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[Journal Article] Preliminary report on relationship between recent tick bite cases caused by Amblyomma testudinarium and ticks collected from wild boar and deer in Ashikaga City, Tochigi Prefecture, Japan2022
Author(s)
Mizuho Shimada, Kandai Doi, Takeo Yamauchi, Hiroki Kawabata, Shuji Ando, Shinzou Abe, Yumie Kobayashi, Yoshie Hirose, Yukako Fujiwara, Miho Saitou, Hiroko Kikuchi, Satoru Komatsumoto, Toshimitsu Murohisa, Satoshi Shimano
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Journal Title
Journal of the Acarological Society of Japan
Volume: 31
Pages: 75-83
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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