2023 Fiscal Year Annual Research Report
線虫はどのようにして昆虫の細胞性免疫を回避しているのか?
Project/Area Number |
21K05618
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉賀 豊司 佐賀大学, 農学部, 教授 (00312231)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 線虫 / 昆虫 / 自然免疫 / 血球 / 包囲反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
寄生が成立するための重要なステップの一つは、宿主免疫からの回避である。細菌やカビなどに対しては、宿主による異物認識機構の詳細は明らかになっている 一方で、線虫などに 対する宿主の異物認識機構は未だに明らかになっていない部分が多い。寄生性を獲得した線虫は、宿主免疫を回避や抑制すると考えられて いるが、その詳細や進化についても不明である。そこで本研究では、昆虫を用いて血球による異物認識とそれに対する線虫の宿主免疫からの回避機構の解明を目指した。鱗翅目昆虫では、大型の異物に対しては顆粒細胞やプラズマ細胞が包囲することによって無毒化することが分かっているが、顆粒細胞がどのように線虫を異物認識するのかについては不明である。当初利用していたアワヨトウが実験に利用できなくなったため、その代わりにカイコを用いて実験系の確立を試みた。その結果、カイコにおいて線虫が包囲化されることを確認するとともに、カイコの発育ステージや生育状態によって線虫に対する異物認識が変化することが明らかとなった。 昆虫による包囲に関する線虫の変異体のin vivoスクリーニング法として、EMS処理して得られたC. elegans変異体の集団を昆虫血体腔内に注入し、一定時間後に線虫を回収し、血球の付着に変化がみられる線虫個体を単離し、人工培地上で培養し、血球の付着が異なる個体の選抜を試みた。ハチノスツヅリガ幼虫やカイコ幼虫、ミールワームなどの幼虫を用いて血球に包囲されない個体やより包囲される個体を探し出した。この一次スクリーニングで反応が異なる個体を単離培養し、再度、反応を調査したが、これまでのところはっきりとした再現性が得られていない。供試個体数を増やしていくとともにより効率の良いスクリーニング方法を検討していく必要がある。
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Research Products
(4 results)