2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K05621
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
土原 和子 東北学院大学, 情報学部, 准教授 (10300823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 哲也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長補佐 (80414879)
高梨 琢磨 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60399376)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 機械受容 / 聴覚 / 感覚毛 / カイコ / トランスジェニック |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、A)音受容性の機械感覚子とB)音には反応しない接触などに関係する感覚子の細胞体それぞれ300本以上からRNAを抽出し、RNA sequenceを行った。そして、2つの遺伝子配列解析の結果から、音受容性の機械感覚子の細胞に特異的に発現している遺伝子を確認した。 解析の結果、A)とB)の両方、もしくは片方に存在する2117遺伝子の配列を得た。また、両方に発現が確認できた遺伝子であっても、発現量に差がある遺伝子が確認できた。まずは、A)のみに発現している遺伝子と、A)に多く発現している遺伝子の解析を行った。 その中でA)の音受容性の機械感覚子特異的な469遺伝子が確認できた。469遺伝子のうち79遺伝子はすでにデータベースに登録されていた。この79遺伝子も配列のみが登録されているものが多かった。 残りの390遺伝子をBLASTを用いて相動性を確信したところ、酵素が24%、受容体が1%確認できた。また、何かの遺伝子と相動性の高いもの、特徴づけられていないタンパク質、その他(不明のもの)、に分けられた。特徴づけられていないタンパク質とその他の中に新規の音受容に関わる新規の遺伝子が存在する可能性がある。 並行して、既知の遺伝子の中で、音や風流、振動に関する遺伝子を昆虫の中で検索した。音受容に関わる候補遺伝子として熱に関係する遺伝子として同定されているTRP channelの一種であるPyrexialが検索された。この遺伝子はカイコの休眠に関わる遺伝子としてすでに報告されている。RT-PCRで発現を確認したところ、この遺伝子は、B)では確認できなかったため、音受容性の機械感覚子に発現し、機能している可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、3年目の令和5年度に、音受容に関わる遺伝子を同定し、遺伝子解析の機能解析としてノックアウトカイコの作成、行動実験を行う予定であった。しかし、コロナの影響により実験が制限されたり、必要な消耗品が欠品しており業者からの納品が遅れた。また2年目の令和4年度に実施したRNAseqの結果が芳しくなかったため、令和5年度にサンプルの量を増やしてRNAの抽出からやり直した。令和5年度のRNAseqはデータがでて、解析できたので、令和4年度の遅れた部分を補ったが、元の予定までに戻すには至っていない。 以上の理由でやや遅れているため、1年間の延長を申請し、承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
4年目の2024年度は、2023年度に行ったRNAseqの結果から絞り込んだ遺伝子に対して、以下の2つの実験を行う予定である。 1)音受容性の感覚子に特異的な遺伝子の機能解析を行う。具体的には、候補遺伝子をノックアウトしたカイコを作成する。作成したノックアウトカイコに対して、音や振動を提示して、行動の有無を確認する。機能の消失が確認できた場合は、また遺伝子を戻したレスキューしたカイコを作成する。そして、音や振動を提示する行動実験により、ノックアウトカイコは音受容に対する行動が消失すること、その後、レスキューした個体については、機能が回復するかを確認する。 2)音受容性遺伝子の候補遺伝子の発現場所や発現時期などの遺伝子解析をおこなう。また、成虫に対しても候補遺伝子を有しているか雌雄で部位ごとに確認する。 以上により、カイコにおける機械感覚子による聴覚の分子機構を解明する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、実験器具の納品が遅れたり、実際に研究に従事できない期間が存在したため、研究計画に遅れが生じた。そこで、研究期間の延長を申し出て、承認された。 3年目に予定していたノックアウトカイコの作成および行動実験を、次年度行う計画に変更した。次年度にこれらの実験を行うための予算が必要である。主に実験に必要な消耗品、旅費、その他(データの解析などの外注)に使用予定である。
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