2021 Fiscal Year Research-status Report
Evolutionary history of the viruses causing male-killing in insects
Project/Area Number |
21K05625
|
Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
新谷 喜紀 南九州大学, 環境園芸学部, 教授 (50389574)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長峯 啓佑 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, JSPS 特別研究員 (20817548)
陰山 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60401212)
菅野 善明 南九州大学, 環境園芸学部, 教授 (60441929)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 性比異常 / ガ類 / ウイルス / 進化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は2015年秋に宮崎県都城市で採集した農業害虫であるガ類のハスモンヨトウから,雌に偏った性比異常を示す系統を発見して累代飼育をしてきた.この性比異常は母系伝播性のウイルスによる「オス殺し」であることが明らかとなり,この性比異常ウイルスをSlSRVと命名した.このウイルスはトンブスウイルス科に近縁な未知の分類群に属する新規のウイルスである.母系伝播性の共生細菌の「オス殺し」による性比異常は数多く報告されるが,昆虫類におけるウイルスによるオス殺しが報告されているのはこのハスモンヨトウも含めて3例のみである. 進化的なスケールで考えると,そもそも性比異常ウイルスは,どのようにしてハスモンヨトウに感染し性比異常を発現するようになったのであろうか.共生細菌による性比異常の場合と同様に,自然界ではこれらの性比異常ウイルスに感染しでも抵抗性を獲得したことによって,性比異常の発現を回避している昆虫もいると予想される.性比異常ウイルスSlSRVの進化史を考える場合,このように感染可能だが性比異常の発現が抑えられているものも含めて,種を超えて広く自然下に存在しているウイルスを探索する必要がある. 本研究では,ハスモンヨトウおよびこの種と同じヤガ上科に属するガ類を採集し,RNA-seqの手法を駆使して SlSRVと相同な核酸配列を持つウイルスの検出を試みる.2021年度は,約80種のヤガ上科のガについて,30個体以上を採集した.ハスモンヨトウについては毎年海外から飛来し,その飛来源の違いから感染,非感染やSlSRVの系統が異なる可能性もあり,日本国内の各地でサンプリングを行いたかったが,移動の制限などにより,サンプリングが遅れている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガ類の採集は,ハスモンヨトウについて以外は概ね順調だが,その後のサンプルの調整が遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
移動制限の下でも可能な範囲の研究の規模にすることも検討する.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の移動制限等で一部の研究が進められなかった。
|