2023 Fiscal Year Research-status Report
Conservation of the parasites of endangered species: case studies of bopyrid isopods infesting shrimps and crabs
Project/Area Number |
21K05635
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
伊谷 行 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (10403867)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 寄生 / 絶滅危惧種 / 博物館標本 / 寄生性甲殻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エビ・カニ類に寄生するエビヤドリムシ科等脚目甲殻類を対象に、絶滅危惧種に寄生する生物は絶滅危惧種か?という問いに答えることを目的としている。本年度は、博物館所蔵標本の調査から、多数の未記載または日本未記録のエビヤドリムシ類を見出すことができた。しかし、絶滅危惧種の宿主(エビ・カニ類)で寄生率を算出できるほど多数の個体が所蔵されている事例はほとんどなく、過去の寄生率と現在の寄生率を比較するには至らなかった。 当研究室所蔵標本の調査から、絶滅危惧II類のコブシアナジャコや準絶滅危惧のトリウミアカイソモドキとクボミテッポウエビに寄生する未記載種のエビヤドリムシ類の同定を行い、未記載種3種と日本初記録1種を含むことが明らかになった。これらの種については20年ほどのデータがあるため、将来の貴重な標本として博物館に寄贈予定である。 本研究では、エビヤドリムシ類の寄生率とその推移、宿主特異性、および、宿主に与える影響を扱うことによって、絶滅危惧種の寄生虫が宿主と同様に絶滅危惧種であるか、絶滅危惧種の宿主に害を与える迷惑者であるかを判定する。そのなかで、生活史や宿主に与える影響についての実証的な調査においては、絶滅の恐れのない種を用いて多数の実験個体から一般的生態を明らかにすることが適切である。スジエビモドキに寄生するエビヤドリムシを用いて生活史研究を行ったところ、繁殖や機能形態に関して新知見があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
博物館所蔵標本から、多数の未記載または日本未記録のエビヤドリムシ類を見出すことができた。絶滅危惧種の宿主への寄生の事例はほとんど見られなかったが、生態調査を行うことのできる普通種を用いてエビヤドリムシ類の生活史解明に大きな進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに博物館調査から多数の未記載種のエビヤドリムシ類を見出すことができた。次年度は最終年度であるが、できるだけ博物館調査を継続する。これまでの調査結果をまとめて、日本初記録種や未記載種の記述的研究も含めたエビヤドリムシ類の多様性をまとめるとともに、生態調査から得られた知見をもとに、エビヤドリムシ類の生活史に関しても論文化を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度と2022年度にコロナ禍のために調査旅費の使用が予定より少なかったが、2023年度の調査によりほぼ吸収され、残はなくなった。一方、成果公表のためのオンラインアクセス費用が、高知大学とCUPにおける協定により無料となったため、出版費が大幅に減額され、17万円の次年度使用額が生じた。調査旅費と成果公表のための費用として使用予定である。
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Research Products
(2 results)