2021 Fiscal Year Research-status Report
Regeneration of cemetery with woodland burial as green infrastructure
Project/Area Number |
21K05646
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 裕文 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (30552343)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 樹木葬 / 墓地 / 都市計画 / 社会変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究目的「墓地の多様化と墓地問題の両者に対応する、墓園再整備事例の抽出」に対応する形で、首都圏を対象とした墓苑再整備事業の事例についてのオンラインでの情報収集と整理を行った。その結果、各事業の実施時期や相互の影響による共通点を明らかにすることができた。
また、研究目的 「遺骨問題と『自然に還る』葬送ニーズに対応する自然葬としての樹木葬墓地の形態抽出」に対応する形で、全国の樹木葬墓地の形態についてオンライン調査を行い、そのバリエーションの全容把握を行った。 その結果、首都圏を中心に過去5年間で4.5倍に増加した樹木葬墓地の形態には,多様化よりもむしろ規格化された商品提供による一定の収束が見られた。樹木葬墓地はその発展と大衆化の結果,従来型の墓地が小規模化し,遺骨の永代管理機能を持つミニマムな家族墓として社会に定着しつつあることが明らかになった。 このような樹木葬墓地の形態変化を、現在の社会変化と対応させて考察すると、現在の都市型樹木葬墓地に「再有形化,再個別化,有期限化」の傾向を読み取ることができる。これまで横浜市や東京都などの公園墓地内に整備された公営の樹木葬墓地は,墓地の「無形化」「共同化」という流れのなかで、これまで家族単位のプライベート空間の集合だった墓地空間を,パブリックなオープンスペースへと変えていく可能性を示していた。つまり、家族で共有される墓標としての墓石が消失し、その代わりに象徴的な樹木を中心とする公園・緑地が、空間として共有される新たな墓地の事例であった。しかし、本研究では、こうした樹木葬墓地の形態が、現在の社会ニーズに対応しきれていないことが示された。近年寺院を中心に提供される民営樹木葬墓地は,石のプレートによって再度個別化したミニマムな家族墓として普及しているといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた、国内事例サーヴェイ調査・事例調査や、首都圏での事例調査を、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い中止したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、研究目的「墓地の多様化と墓地問題の両者に対応する、墓園再整備事例の抽出」に対応する形で、担当者ヒアリングや現地調査を行うほか、研究目的「墓園の公園化に伴う、新たな管理運営を実現する仕組みの整理」に対応した事例調査を予定している。 ドイツにおける事例調査は2023年度に実施を予定している。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた、国内事例サーヴェイ調査・事例調査や、首都圏での事例調査を、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い中止し、それに変わり、オンラインでの全国調査を行った。それらの調査は次年度に実施を予定している。
|