2022 Fiscal Year Research-status Report
The resilience study about the windthrow in satoyama due to super storm typhoons
Project/Area Number |
21K05650
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 達明 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (40178322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 輝昌 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (20291297)
加藤 顕 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (70543437)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 森林風倒害 / 台風 / レジリエンス / マテバシイ林 / 風倒耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
沖縄の森林調査を、琉球大学与那フィールド、沖縄県民の森、本部町備瀬、今帰仁村今泊において行った。対照として、千葉県南房総市大房岬自然公園においても調査した。与那フィールドの2012年に台風によって多数の倒木が生じた常緑広葉樹天然林1000㎡の林分とマテバシイが多い常緑広葉樹二次林400㎡の林分で、大房岬自然公園のマテバシイ人工林400㎡の林分で、胸高直径10cm以上の幹の毎木調査を行った。沖縄県民の森のマテバシイ優占二次林100㎡の林分では、胸高直径5cm以上の幹の毎木調査を行った。 与那フィールドのマテバシイは平均形状比50、平均樹冠長比48で、南房総のマテバシイの59・61と比べて小さく、暴風に対して幹が折れにくい樹形が形成されていた。沖縄県民の森の風衝地では、いずれの個体も胸高直径が小さく、樹高も低い株立樹形を呈していた。頻繁に暴風台風が訪れる沖縄では、樹高が低く、樹冠長が短い、強風に耐性がある樹形にマテバシイが適応していると考えられる。また風衝地では、風倒が頻繁に起き、萠芽再生によってマテバシイ群落が維持されていると考えられる。 倒木が多かった与那フィールド天然林は多様な樹種によって構成されており、全体の平均形状比は61で南房総のマテバシイ林と同様だったが、平均樹冠長比は52で南房総のマテバシイ林より小さかった。与那フィールドのマテバシイは株立ちが多かったが、その形状比・樹冠長比は、天然林の他樹種と比べて大きいとは言えない。 備瀬と今泊では、屋敷防風林を調査した。防風林高木は全てフクギで構成されており、約1mの間隔で一列密植されていた。手入れが行き届いた今泊の防風林では、樹高が6-8mで揃っており、平均形状比は34と著しく小さかったが、平均樹冠長比は76だった。生枝下高を低くして屋敷の防風力を高める一方で、防風林自体の風倒耐性が高まるよう管理されていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に計画していたがCOVI19の流行のため実施できなかった沖縄調査を行い、成果を得ることができた。南房総の調査地において当該年度計画していた、生態系の回復状況についてモニタリングを実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年に南房総市大房岬自然公園の風倒木地に設置した試験地において、気温・湿度・光量子束密度など微気象条件を観測し、森林の再生状況を調査して、生物多様性の高い常緑広葉樹林の再生方法について検討する。また、土壌についても調査し、森林生態系としての回復状況も評価する。 これまでの研究を取りまとめて、樹木の風倒リスク判定モデルを構築し、学会等で検討を進める。 2019年台風被害への対策が進む千葉県において、その取り組み状況をヒアリングし、社会的なレジリエンスについて検討する。
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Research Products
(7 results)