2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of local activities on establishment of modern scenic sites in Japan
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21K05654
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
小沢 晴司 宮城大学, 事業構想学群, 教授 (70600526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 知生 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (40781555)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保勝会 / 自然風景地 / 山岳宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,近代以前からその後の自然風景地の保全・利用に関する「地元」の活動の持続性と風景地の持続可能な管理との関係を明らかにすることを目的としている。 検討対象とする「地元」として,保勝会などの団体,山岳部の宗教関係者,観光関連事業者,自治体の4つの主体の事例をとりあげる計画であった。これまで,十和田地域, 及び宮城県地域の自然風景地を対象として,研究を進めた。十和田地域では,近代以前の風景地としての保全・利用の取組は少なく,明治中後期から大正期を中心に,地域の資源としての利用・保全の取組が行われ,その経過を明らかにした。当該地域では自治体と保勝会の活動が主となり,自治体の活動は交通の整備が優先され,県境にまたがる地域であるため,両県の競合がみられた。保勝会の動きは,青森県側は明治末期からの史蹟名勝天然記念物保存協会の動きを背景として展開していることが確認された。また,宮城県地域については,蔵王連峰,船形山等の古くから地域の山岳信仰の対象となる風景地について,その保全に関わる自治体の動きや,宗教関係者の動きを追いかけた。一方宮城県地域の海岸地域での自然風景地では,地元自治体のほか,観光関連事業者の動きを追いかけることとした。関係者へのヒアリングにより,それらの自然風景地の保全が,一方で,このたびの東日本大震災後の地域の復興や景観の創出にも影響を与えていることが付随する成果として抽出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然風景地の保全・利用に対する地元の活動として,自治体,保勝会が大きく関わった十和田地域を対象とし,自治体,保勝会の活動内容を明らかにすることができた。宮城県地域では,蔵王,船形,栗駒等の風景地や,松島や気仙沼等の海岸部の景観地について,関係する情報収集を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,近代以前からその後の自然風景地の保全・利用に関する「地元」の活動の持続性と風景地の持続可能な管理との関係を明らかにすることを目的としている。 地元の活動内容について,4つの主体の事例について対象地域を選定し,資料収集を継続する。十和田地域では自治体と保勝会の活動についての事例となった。自治体の活動は十和田では交通整備が主体となっていたが,その他の自治体の関わりが特徴的な地域で活動内容を明らかにし,保勝会については,自治体による支援がない団体について調査を加える。また,観光関連事業者,宗教関係者の活動内容を明らかにするため,引き続き,宮城県地域の蔵王,船形,栗駒等の山岳地域,及び松島や気仙沼等の海岸地域の風景地に関する資料収集を行い,地域間の比較を行っていく計画である。
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Causes of Carryover |
令和3年度は,コロナ禍対応で,計画していた調査地や対象について,見送らざるを得ないケースもあったことから,今年度中に執行できなかった事項があり,次年度に,東北地方ほか本州の山岳宗教団体や観光関係団体へのヒアリング等を追加実施する予定としている。
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