2023 Fiscal Year Research-status Report
都市緑地の植生を環境DNAメタバーコーディング法で把握するための基礎的研究
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21K05657
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
中山 祐一郎 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (50322368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保田 謙太郎 秋田県立大学, アグリイノベーション教育研究センター, 准教授 (00549032)
尾形 善之 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (90446542)
阿久井 康平 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (90779315)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 都市公園 / 雑草 / DNAバーコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
1)雑草DNAデータベースの構築のためのⅰ)登録種数の充実として、42種の水田雑草を収集し、さく葉標本を保存した。その内訳は、カヤツリグサ科10種、イネ科9種、アゼナ科3種などである。希少種としてはヒルムシロやホシクサ、マルバオモダカが含まれる。それら42種のtrn Lイントロン領域の塩基配列を解読した。得られた塩基配列についてはBLAST検索によってGenBank登録されたデータと比較・検証するとともに、種間レベルの識別に利用できることを確認し、情報を蓄積した。 また、雑草DNAデータを充実させるために環境の異なる都市緑地を選定する目的で、大阪府高槻市の安満遺跡公園をフィールドとして景観構成要素を調査した。 本研究課題は、都市緑地の土壌試料からその場に存在する植物の種組成を推定する環境DNAメタバーコーディング法の基礎技術を確立することであり、そのために1)雑草DNAデータベースを構築することにより、自生する植物をDNAバーコーディング法で簡便かつ正確に同定できるようにして、次2)土壌試料からのDNA抽出方法とバーコード領域のPCR増幅条件などを検討して、環境DNAメタバーコーディング法の実験プロトコルを確立することで、地下器官や埋土種子として維持されている潜在植生を含めた都市緑地の植生を把握できるようにすることを目指している。しかしながら、研究代表者の2022年11月から2024年2月までにわたる病気療養のため、遅滞を余儀なくされ、復職後も治療を継続しているため行動が制限される。そこで研究計画を再検討した。今後は大阪府内の都市公園を中心に草本植物相を調査し、そこに出現した種の中から、常在度が高く、属内に複数の種を含み、GenBank登録配列の少ない種群を抽出して、それらから優先的にあーコーディング領域を解読して情報を蓄積することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者が昨年度に続き疾病による病気療養のため4月~2月の10ヶ月間を休職したため、研究実績は分担者のみのものとなった。 本研究の目的は、都市緑地の土壌試料からその場に存在する植物の種組成を推定する環境DNAメタバーコーディング法の基礎技術を確立することであり、そのために1)雑草DNAデータベースを構築することにより、自生する植物をDNAバーコーディング法で簡便かつ正確に同定できるようにして、次に、2)土壌試料からのDNA抽出方法とバーコード領域のPCR増幅条件などを検討して、環境DNAメタバーコーディング法の実験プロトコルを確立することで、地下器官や埋土種子として維持されている潜在植生を含めた都市緑地の植生を把握できるようにする。2023年度では1)のⅰ)登録種数の充実のみ、分担者が実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
究代表者は2024年の2月に復職したところであり、復職後措置として1日や1週間での勤務時間が制限されているため、具体的な方策は十分には検討できていない。ひとまず、代表者の体調が許す限り、大阪府内の都市公園6カ所を対象に植物相を調査し、そこで見られた雑草種を採取して、DNAバーコード領域を解読する予定である。 科研費では病気を理由とした中断は認められていないため、計画を完遂するためには研究期間を延長するか、 研究の廃止を検討せざるを得ない。産休と同様に、いつか病気を理由とした中断が認められるようになることを願う。
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Causes of Carryover |
研究代表者が疾病により休職したため、実支出額がなかったことが大きな理由である(ただし、研究に使用する人工気象器が故障したため、修理費としての支出はあった)。その他、分担者の理由としては、塩基配列解析委託費として計上した解析を自身の研究機関における教員研究費で支払うことができたことである。次年度使用額は、復職後措置により研究代表者のタスクが制限されることから、分担者に多く配分した。
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Research Products
(2 results)