2022 Fiscal Year Research-status Report
住環境を保障するものとしての庭に関する研究ー東北地方を対象として
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21K05659
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Research Institution | Tohoku University of Community Service and Science |
Principal Investigator |
温井 亨 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50271606)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酒田 / 水帳 / 町絵図 / 村田 / 鶴岡 / 都市建築 / 庭 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、まず酒田市光丘文庫所蔵の酒田の町内ごとの町絵図(敷地区画割がなされ所有者と間口、奥行が記載)が、享保年間に整備された水帳に付随する水帳絵図であることを、水帳と比較することで確認した。これらの絵図についてはこれまで研究がなく、また作成年代不詳とされていたものもあったが、今回水帳絵図の写し(肝煎や代官などの署名がない)であることを明らかにした。次に、その中の給人町の絵図と、伊東家文書の水帳(『酒田市史史料篇六』を使用)を使って、享保~明和期の給人町の敷地変遷を研究し、住環境を保障するものとしての庭の存在、その通時的変化を考察した。同成果は、本年9月に行われる日本建築学会全国大会での発表が決定している。 また、蔵の町として知られ、重要伝統的建造物群保存地区である宮城県村田を現地調査し、住環境のための庭を持つ都市建築として、蔵の町とは別の視点から評価できるという目星をつけることができた。一般に町家研究、あるいはその集合を町並みとして見る研究は建築史、都市史の分野から行われ、歴史的対象として町家を取り上げる。都市計画、まちづくりの分野で取り上げる場合も、歴史的環境を現代の暮らしに如何に適合させるかが研究意図である。しかし今回の調査で、都市建築としての歴史的ルール、考え方が、現在も生きていることを見出せたように思う。歴史的なものが今も生きて機能しているという稀有な町として評価できるのではないか。そこに光を当てるために、同じ東北の町家、町並みが残る鶴岡の荒町(山王商店街)と比較して明らかにしていきたい(鶴岡では死んでいた都市建築のルール、考え方を、計画書作成によって復活させようとしている)。以上を論文にまとめ、秋に日本造園学会に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナの流行により、人と接触する調査、宿泊しての調査ができなかった。また、関連分野の研究者との意見交換、シンポジウムの開催も考えていたが、やはり開催がはばかられ、実施できなかった。ようやく昨年の晩秋、宮城県村田で調査を実施できたが、現地調査はこの1回に留まっている。それに対し、研究室で行える水帳や町絵図を使った研究は進めることができたが、全体として、研究は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナも収まってきて、調査も普通に行える状況となったので積極的に行っていきたい。また、関連分野の研究者との意見交換、そのための場としてのシンポジウムなどの開催も、計画していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナの流行により現地調査ができず、そこで得られた知見をもとにした研究ができなかった。また、関連分野の研究者を招いての意見交換、シンポジウムなども予定していたが、これも開催がはばかられた。新型コロナが収まってきているので、できなかった現地調査、シンポジウムを実行し、研究を完成させたい。
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Research Products
(1 results)