2022 Fiscal Year Research-status Report
山岳地に伐採区をどのように配置するか?風に伴うギャップ拡大リスクの定量的評価
Project/Area Number |
21K05667
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
水永 博己 静岡大学, 農学部, 教授 (20291552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楢本 正明 静岡大学, 農学部, 准教授 (10507635)
上村 佳奈 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (40570982)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ギャップ拡大現象 / 風ストレス / 伐採区配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の森林の主要な気象災害は風害であり,そのリスクは気候変動に伴い高まることが予想されている.全国各地で行われている皆伐は植被構造をドラスティックに改変するため,周辺森林の風害リスクを増大させる危険がある.しかし山岳地の複雑な風況の下では,伐採の周囲の森林に及ぼすリスクを評価することは難しい.とくにギャップと風と樹木の関係は一定ではなく,ギャップ拡大現象がどのような場合にどの程度のリスクで生じるのか定量的な関係は解明されていない.本研究では森林のギャップ配置や景観構造と風に対する森林の耐性との関係を評価し,山岳林の風によるインパクトを低減するための伐採区の配置手法を開発することを目的とし,「風によるギャップ拡大はどのような条件でどの程度生じやすくなるのか」と「複雑な地形条件や土地利用形態のもとで伐採区画をどのように配置すれば風による負のインパクトを軽減できるか?」の2つ問いに答える. 皆伐地に隣接する森林の林冠DSMから風速の時空間変化を推定した時に,剥離風が生じた場所の個体がより風倒を生じていた.このことは風害の有無に近隣のギャップサイズ,ギャップまでの距離,樹高の因子が関わっていたことと一致した. また森林内のギャップは風の乱れに影響するだけではなく,隣接木同士の支えあい効果が大きいことを明らかにした.このことは個体レベルの風害には小さい林冠ギャップが大きくかかわっていることを示す. ギャップが生じることによる林縁木の枯れの原因を調べるために,水分供給の立場から樹冠部と幹下部の樹液流速のラグの林縁個体と林内個体の違いを計測している.現在環境要因とラグの関係を解析中である.また皆伐ギャップからの位置ごとに幹に生じるひずみの変化を連続測定中であり,風環境の変化とあわせて,ギャップの影響を解析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
皆伐地に隣接した被害林で被害の前後に撮影したUAV画像から,被害時の風速の時空分布を予測し,被害時の風況と被害木の分布をリンクすることができた.さらに風害時の幹の振動挙動について解析できた. 皆伐地に面した樹木の樹液流の連続計測や振動のインタクト連続計測も順調に進んでいる. しかしながら,一部機械の未調達や三次元レーザースキャナーの修理の遅れにより,林冠構造と瞬時的な樹木の挙動に関する詳細な解析に至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
振動計測や樹液流計測を行っているギャップに面した森林の林冠について地上Lidarと林冠Lidarにより個体ごとの詳細な樹冠構造データを得て,林冠構造と樹木の挙動を解析する.さらに計測個体に隣接する個体を伐採し,伐採前後での挙動の変化を測定することで,個体環境と風ストレスの関係を確かなものとする. これまでに得られた剥離風と被害の関係を適用して,様々な地形環境下で伐採デザインを多様に変化させたときの風害木の空間分布を予測する.
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Causes of Carryover |
感染症の影響により,予定した出張を取りやめた.さらに,一部部品が調達できず,機器の修理も遅れを生じたため,予定していた作業を延期した.次年度は感染症の影響も小さいと考えられ,さらに物品の調達の見込みもついたことから,これらの予算執行を行う.
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