2023 Fiscal Year Annual Research Report
Potential site prediction and warning of collapse caused by groundwater
Project/Area Number |
21K05671
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
地頭薗 隆 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (50145455)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地下水型崩壊 / 土砂災害 / 水文調査 / 地形地質調査 / 崩壊発生予測 / 警戒避難対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,気候変動等の影響による記録的な大雨の増加に伴って,深層崩壊に代表される深い地下水が関与した大規模な崩壊(地下水型崩壊)が目立っている。地下水型崩壊は,崩壊土砂量が多いために大きな被害をもたらしたり,崩壊土砂が地下水を多量に含んで流動化して広範囲に土石流災害を引き起こしたりする。また,地下水は地中をゆっくり流動するために,雨が止んで長時間経過した無降雨時に崩壊が発生して警戒対応が困難な場合もある。本研究の目的は,従来の地形に基づく危険箇所抽出と降雨に基づく警戒避難対応に渓流水や湧水などの水文情報を加えて防災・減災効果を高めることである。以下,研究期間全体および最終年度の成果研究をまとめる。 ①渓流水の流量や電気伝導度を測定して,地下水の集中箇所を「地域」→「流域」→「斜面」のように段階的に絞り,地下水型崩壊の発生危険箇所を抽出する簡易な調査法を提案した。さらに,長年蓄積してきた九州各地で発生した地下水型崩壊地の水文データと研究期間の2021年8月豪雨,2022年9月台風14号,2023年7月豪雨で発生した地下水型崩壊の調査結果も加えて,提案した調査法の有効性を検証した。 ②抽出した地下水集中箇所において湧水を監視する装置を開発し,湧水流量などの水文データから崩壊発生の警戒避難対応の策定手法を提案した。この策定手法を確立するために,姶良カルデラ,肥薩火山地域,阿多火砕流台地で蓄積してきた湧水流量等の水文データから地下水型崩壊発生の危険性を判断する因子とその基準を提案した。 ③最終年度には,地下水の集中と地質構造の関係を分析し,地下水集中箇所で発生する土砂移動現象をタイプ分けして,砂防事業等の防災・減災対策における効果的な工法を提案した。
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