2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular analysis on the function and expression pattern of monosaccharide transporters in sugi (Cryptomeria japonica)
Project/Area Number |
21K05685
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
細尾 佳宏 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (80377184)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スギ / 単糖 / 膜輸送 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
糖は、樹木のあらゆる生命活動に必須な有機物である。樹体内での糖の様々な働きは、細胞の生体膜に存在する膜タンパク質の一種であるトランスポーターが担う糖膜輸送(膜を横切る糖の選択的輸送)と密接に連動している。本研究は、針葉樹における単糖膜輸送の機構を分子レベルで解明し、成長・生理機能に対する単糖膜輸送の役割を明らかにすることを目的としている。 本年度は、スギ由来の単糖トランスポーター遺伝子であるCjSTP3を対象として、解析を行った。機能解析では、出芽酵母の単糖輸送欠損株(EBY.VW4000株)を用いた相補性試験を行い、単糖取り込み機能の解析を行った。その結果、CjSTP3を発現させたEBY.VW4000株は各種の六炭糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース)を唯一の糖として含む培地で生育でき、CjSTP3は幅広い単糖(六炭糖)の取り込み活性を持つことが明らかになった。また、CjSTP3によるグルコースの取り込みは脱共役剤のカルボニルシアニド-m-クロロフェニルヒドラゾンによって阻害され、CjSTP3は単糖/プロトン共輸送トランスポーターである可能性が示唆された。発現解析では、スギの成木と苗木から針葉、内樹皮、根、雄花、などの各部位の試料を採取し、CjSTP3の発現量を定量RT-PCRにより解析した。その結果、解析を行ったすべての部位でCjSTP3の発現が確認され、雄花において発現量が高かった。CjSTP3はスギ樹体内の様々な部位の細胞で単糖膜輸送(取り込み)に関与しており、特に雄花で活発に働いている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スギ由来の単糖トランスポーター遺伝子であるCjSTP3について、遺伝子産物(トランスポーター)の単糖輸送機能やスギ樹体内における発現パターンに関する新規の知見を得ることができた。CjSTP3以外のスギ単糖トランスポーター遺伝子の解析やスギからの新たな単糖トランスポーター遺伝子の単離に向けた準備作業も完了し、CjSTP3を含む各遺伝子の詳細な発現解析のための試料採取・RNA抽出にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
CjSTP3以外のスギ由来の単糖トランスポーター遺伝子を対象として、本年度と同様に相補性試験を行い、遺伝子産物の単糖取り込み機能について明らかにすることを目指す。さらに、定量RT-PCRによりスギ樹体内における発現パターンの解析を行う。また、新たにスギから単糖トランスポーター遺伝子を単離することを試みる。そして、スギの成木から雄花と雌花の試料を一定間隔で採取し、これらの部位における各遺伝子の発現パターンをより詳細に明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初計画時よりも研究用物品(試薬類、器具類)が安価で購入できたこと、新型コロナウイルス感染拡大の影響により実験に必要な試薬・器具の一部が入手困難となったことにより、次年度使用額が生じた。次年度請求額と合わせて、旅費と消耗品(機能解析用や発現解析用の試薬類、器具類)に使用する。次年度は、東北大学での研究打ち合わせや国内学会での成果発表・情報収集を予定しており、そのために今年度よりも多くの旅費を使用する予定である。また、発現解析用の消耗品についても、より詳細に解析を行うために多くの研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)