2021 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of genetic mechanism to prevent root and stem bendig and statistical model building to predict their genetic ability.
Project/Area Number |
21K05691
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
花岡 創 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (40598728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 純 千葉大学, 教育学部, 特任助教 (40800636)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アカエゾマツ / 初期成長 / 材質 / 応力波伝播速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
降雪量の多い地域ではしばしば、雪圧や冠雪害等に起因して造林木の根元曲がりや幹曲がりが生じ、林業収益を低下させる深刻な問題となる。アカエゾマツでは根元曲がりや幹曲がりへの抵抗性に家系間差があることが知られ、家系間差を生み出すメカニズムを理解することは今後の根元曲がりや幹曲がり抵抗性品種の開発等に役立つ。本研究課題では、根元曲がりや幹曲への抵抗性が高い、あるいは低いことが既知のアカエゾマツの家系及びそれらの母樹クローンを研究材料として、根元曲がりや幹曲がりへの抵抗性に差が生じるメカニズムの一端として、初期成長や材質特性の差に着目し、調査を進めている。 今年度は、稚内市にある試験地1ヶ所(30年生)に植栽されているアカエゾマツ14家系を対象として、丸太のヤング率と相関がある応力波伝播速度と材密度と相関があるピロディン貫入量を測定し、家系毎の遺伝的能力の評価値(育種価)を算出した。また、過去の定期調査データをとりまとめ、植栽から5年次と10年次の樹高について、家系毎の育種価を算出し、試験地1ヶ所分のデータ取得を予定通り完了した。現在のところ1試験地のみの結果ではあるが、根元曲がりや幹曲がりへの抵抗性が高い家系は、初期成長性と材質形質のどちらか、あるいは、両方に優れる傾向にあったことが確認された。また、調査した家系の母樹クローン(接ぎ木個体)についても、保存園で複数個体の応力波伝播速度及びピロディン貫入量を測定し、あて材等の欠点がないと考えられる個体を確認し、成長錐コアを採取してより詳細に材質形質を調査する個体を選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、試験地1ヶ所での材質調査を完了するとともに、成長量データについてもとりまとめた。成長錐コアを用いた母樹クローンの材質測定については、予定していた一部の調査が実施できなかったが、次年度の実施で問題ない状況であり、全体として概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
根元曲がりや幹曲がりへの抵抗性が高い家系と低い家系の両方が植栽された試験地を新たに調査する。応力波伝播速度とピロディン貫入量の測定を実施するとともに、過去の定期調査データをとりまとめて樹高成長データを整備する。また、調査対象家系の母樹クローンから成長錐コアを採取し、ミクロフィブリル傾角や容積密度等の評価を行う。 複数試験地からの材質及び成長データが出揃った段階で、それらの形質評価値と、根元曲がりや幹曲への抵抗性に関する評価値との関連性について統計解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延に伴う緊急事態宣言等の発令により、予定していた一部の打合せ及び試料採取に関わる出張を次年度に延期したため、主に旅費について次年度使用額が生じた。延期した出張等は次年度に実施する予定である。
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