2023 Fiscal Year Annual Research Report
スズメバチ女王を飼い殺す新たに発見された寄生バチ:その生態と系統
Project/Area Number |
21K05693
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
小坂 肇 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20343791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐山 勝彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353711)
神崎 菜摘 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70435585)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宿主範囲 / 地理的分布 / 系統関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
スズメバチと同様の生活史を持つマルハナバチにはコマユバチ科Syntretus属の一種の寄生バチが存在するので、スズメバチに寄生する寄生バチを同属あるいはその近縁の属の種と予想した。データベースから信頼のおけるSyntretus属のミトコンドリアCO1遺伝子塩基配列を13抽出し、本種及び最も近縁のMyiocephalus属の3配列とともに系統解析を行った。その結果、本種はSyntretus属の一群に入り、本属あるいは本属が所属するSyntretini族に属すると考えられた。 研究期間中に長野県内で5月から12月にかけてスズメバチを誘引捕獲法により採集し、解剖した。寄生バチは、幼虫あるいは卵で確認されことから、本種の寄生は産卵により成立することが明らかとなった。本種が検出されたのは、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ及びチャイロスズメバチの女王で、寄生率は順に約20%、5%、10%、10%であった。オオスズメバチとモンスズメバチの女王及び各種の働きバチと雄バチからは寄生バチは検出されなかった。働きバチと雄バチから本種が検出されなかったので、本種は年1化でスズメバチ女王が活動を開始する春先に成虫が活動するものと推測された。 研究期間中に熊本県内3か所、京都市内1か所でスズメバチを採集して解剖したが、寄生バチは検出されなかった。一方、長野県では研究期間の3年間続けてスズメバチへの寄生バチの寄生が確認された。 これらから、スズメバチに寄生する寄生バチの宿主は、本種が検出された4種スズメバチの女王であることが明らかになり、また、本種が定着しているのは現時点では長野県と考えられた。今年度、本種寄生バチの系統関係を明らかにしたことにより、研究期間を通じてその基礎的な生態、すなわち宿主範囲、生活史及び分布と近縁種との系統関係が明らかになった。
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