2021 Fiscal Year Research-status Report
シイタケゲノム編集技術の確立と子実体保存性関連遺伝子の解析
Project/Area Number |
21K05700
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 利次 北見工業大学, 工学部, 教授 (00390881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シイタケ / 胞子 / 保存性 / sgRNA / Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、シイタケにおいて交配可能かつ形質転換効率の高い1核菌糸を単離し、その株でCRISPR/Cas9によるゲノム編集技術を確立することと、子実体の保存性に関与する遺伝子を破壊してその機能を解析し、最終的に実用化可能な株を取得できる育種法を確立することである。 シイタケの胞子は、常時入手できないため、子実体を形成させたときに、大量に回収して保存しておき、必要に応じて遺伝子導入実験等に使用する必要がある。そこではじめに、市販株の子実体から胞子を回収して、胞子の冷蔵あるいは冷凍による保存条件に関して検討した。胞子をそのまま保存した場合と保護剤としてグリセロール溶液を使用した場合は、保存に伴い急激に発芽率が低下することがわかった。これに対して、水とスクロース溶液に胞子を懸濁して冷蔵あるいは冷凍保存した場合には、発芽率が20%前後に維持されることが明らかとなった。現在、これらの胞子株への薬剤耐性遺伝子発現ベクターの導入を試みている。 CRISPR/Cas9によりゲノム編集を行うためには、特定の遺伝子にCas9を近づけるために1本鎖のガイドRNAが必要である。そこで、シイタケゲノムの中の遺伝子でその破壊を想定している遺伝子に関して、1本鎖のガイドRNA (sgRNA) を3種類設計し、委託合成後、試験管内で切断が確認できるかどうかに関して検討した。Cas9は市販の酵素を用いて、ターゲット遺伝子をPCR増幅し、3種類の1本鎖のガイドRNAとともに試験管内で反応させたところ、1種類が比較的その切断が良好であることが確認できた。現在、別の遺伝子に関しても、同様の実験を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子導入を行うための胞子の保存条件に関しては、胞子の水懸濁液を冷蔵あるいは冷凍保存することにより、約20%の発芽率を維持できることことからほぼ確立できたが、胞子株への遺伝子導入に関しては、予備的な条件検討にとどまっている。 目的遺伝子の破壊を行うためのsgRNAに関して1遺伝子あたり3種類を設計し、Cas9による切断性の効率を試験管内で検討したところ、設計した3種類のうちの1種類の遺伝子に関しては、その有効性が確認できた。また、別のモデル遺伝子に関して、委託合成したものが入手できているので、現在確認中である。
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Strategy for Future Research Activity |
シイタケ胞子の保存条件が確立できたので、今後は胞子への遺伝子導入効率に関して、シイタケ由来の選抜マーカー遺伝子であるカルボキシン耐性遺伝子cbxを用いて検討する。また、sgRNAに関しても有望なものが設計できたので、モデル遺伝子としてシイタケ分泌酵素の一つであるラッカーゼlcc1遺伝子に関して、Cas9とsgRNAのリボ核タンパク質(RNP)を用いた、バルクの胞子と2核株への導入と、それによるlcc1遺伝子の破壊について検討する。
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