2022 Fiscal Year Research-status Report
Discovering new nano-material from frass of xylophagy insects
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21K05705
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小堀 光 静岡大学, 農学部, 准教授 (20612881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食材性昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
広葉樹および針葉樹に広く穿孔するマルクビケマダラカミキリTrichoferus campestris幼虫が産生したフラスについて、その形態的・化学的組成の評価を穿孔材ごとに評価した。穿孔樹種や幼齢によりフラスのサイズは影響を受けるものと考えられるが、タラノキを母材としたものでは90 μm~180 μmのフラスが半数を占めることが明らかとなった。一方、走査型電子顕微鏡による観察では、多くのフラスは単一の粒子ではなく複数の繊維や剥片状の粒子が凝集しており、部分的に直径数百 nm程度の繊維状の毛羽立ちが認められた。穿孔部位である辺材部と幼虫が産生したフラスのホロセルロース量を亜塩素酸法に基づいて定量したところ、タラノキにおいては辺材部の平均ホロセルロース量が91.29% であったのに対し,フラスの平均ホロセルロース量は78.58% と有意に低かった (p < 0.05)。このことから、マルクビケマダラカミキリ幼虫はホロセルロースを分解していることが示唆された。フラスと辺材の近赤外拡散反射スペクトルを比較すると、ヘミセルロースに関連する1172 nmの吸収とセルロース準結晶領域に関連する1480 nmの吸収ピークに変化が認められた一方で、セルロース結晶領域の吸収やリグニンに起因する吸収ピークに大きな違いは見られなかった。このことから、マルクビケマダラカミキリの幼虫はヘミセルロースやセルロースの一部は分解できるが、結晶性のセルロースやリグニンは分解しにくいことが考えられた。結果、マルクビケマダラカミキリの幼虫が産生するフラスはリグニンや結晶性セルロースの占める割合が辺材部に比べて大きく、辺材そのものに比べて疎水性であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では多数の種類の食材性昆虫のフラスについて調査する予定であったが、各種計測を実施するために必要な分量のフラスを確保することが非常に困難であるため、広食性かつ乾材穿孔であるマルクビケマダラカミキリに種を絞って分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマルクビケマダラカミキリを主として、数種類の一次穿孔・二次穿孔性の食材性昆虫のフラスの形態・化学成分分析およびフラス生産効率の評価を行う。当初予定では複合材料の試作に取り掛かる予定であったが、得られるフラスの量によっては複合材料の試作は断念し、別の形態の試作を行う可能性がある。
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Causes of Carryover |
フラス生産効率を評価するための虫体が確保できなかったため、恒温恒湿槽の購入を見送った。現在虫体の確保のめどが立ち、2023年4月時点で恒温恒湿槽を購入済みである。
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Research Products
(2 results)