2021 Fiscal Year Research-status Report
Revealing of chiral factors in cellulosic liquid crystal toward the design and development of new functional materials
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21K05706
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
杉村 和紀 京都大学, 農学研究科, 助教 (30711783)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | セルロース系液晶 / コレステリック構造 / 分子キラリティー / 掌性反転 / 位置選択置換 / 包接錯体 / 液晶デバイス |
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| Outline of Annual Research Achievements |
セルロース系コレステリック液晶におけるラセン周期（ピッチ）と旋回方向（センス）変化に及ぼす分子構造・環境因子の解明、ならびに高性能・高機能な液晶光学材料の創製を目指した研究を行い、以下の成果を得た。
A. 位置選択置換エチルセルロース(EC)の調製とその液晶形成挙動の解析評価
4-メトキシトリチル基を用いた6位保護反応を経由して、2・3位のみをエチル基で置換した2,3-di-O-ECとそのアセチル化試料（6-O-acetyl-2,3-di-O-EC）を調製した。市販EC試料について得られた結果との比較から、置換基分布が異なることで濃厚溶液中での液晶形成挙動が変化することを確認できた。関連して、市販ECから調製したエステル化試料の液晶形成挙動について、側鎖の化学構造とその導入量（置換度(DS)）、溶媒種やポリマー濃度、温度の各効果を体系的に整理しえた。
B. ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)水系液晶における置換基効果と包接錯体形成能を活かした機能材料化
水溶性の環状オリゴ糖であるβ-シクロデキストリンと包接錯体形成が可能なアダマントイル基をHPCの側鎖に導入し、水系におけるアダマントイル化HPCの液晶形成挙動を調査した。アダマントイルDSを極低く抑えた試料は水溶性を維持し、アダマントイルDSとポリマー濃度、温度に応じて様々な呈色を示すことを確認した。また、β-シクロデキストリンとの包接錯体形成により、水に難溶な高DS試料の水溶性が向上し、濃厚水溶液を調製できることが明らかとなった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では、液晶性セルロース誘導体の液晶形成挙動に関して、(A) 置換基分布・置換位置が分子キラリティーと液晶センス反転挙動に及ぼす影響、ならびに (B) 置換基導入と包接錯体形成による主鎖周りのかさ高さ変化の影響を調査している。前者Aについては、エチルセルロース(EC)の2・3位選択置換体を調製し、市販EC試料との液晶形成挙動を比較できていることから、想定通りに進展しているといえる。また後者Bにおいても、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)へのかさ高いアダマントイル基の導入と、β-シクロデキストリンとの包接錯体形成、それらがHPC誘導体の水溶性と液晶性に及ぼす影響について検討できており、進捗状況は順調である。
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| Strategy for Future Research Activity |
「(A) 置換基分布と置換位置の影響調査」については、エチルセルロース(EC)の2・3位選択置換体（2,3-di-O-EC）に続いて、テキシルジメチルシリル基とアリル基を用いた3位保護反応を経由して、2・6位のみをエチル基で置換した2・6位選択置換体（2,6-di-O-EC）とそのアセチル化試料（3-O-acetyl-2,6-di-O-EC）を調製する。反応条件（試薬添加量や反応温度、反応時間等）を調整して置換度(DS)の異なる試料と取り揃えつつ、濃厚溶液中における液晶形成挙動を調査する。
「(B) セルロース主鎖周りのかさ高さ変化の影響調査」については、高DSのアダマントイル化ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とβ-シクロデキストリンとの包接錯体試料の濃厚水溶液を対象に各種光学測定を行い、コレステリックピッチとセンスを解析評価する。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由については、想定よりもスムーズに実験が進展して試薬の購入費が抑えられたことに加え、参加した学会がCOVID-19の影響で全てオンライン開催となり、旅費分として申請した経費が不要となったことが挙げられる。
翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画は、下記の通りである：
試料調製と反応条件検討に向けた試薬（攻撃試薬や反応溶媒等）・ガラス器具類の購入を中心に、使用していく。また、液晶光学特性の解析評価に必要な分光機器・装置類の保守費用（光源ランプの更新や光学システムの改良等）についても、必要に応じて計上する予定である。
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