2021 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of the variation of wood properties with age based on physics
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21K05709
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
藤本 高明 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40446331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 秩序化 / 自己組織化 / 不可逆過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹木は,加齢にともない性質の著しく異なる木部組織を形成する.この現象は,適切な森林の管理・育成や木材資源の有効利用と深く関連するが,未だ本質的な理解に至っていない.本研究の目的は,加齢にともなう木材性質変動を,単一の性質で直接的におうのではなく,多数の性質(情報)を用いて包括的に評価し,得られた結果を物理学的に考察することである.具体的には, 各樹齢に対応した木部から計測した多次元ベクトルデータからなる行列の固有値を算出することによって,加齢にともなう木材の状態変化を統計力学的に評価する.これにより,樹木の加齢現象における普遍的な木材性質変動を見出すことを目指す. 今年度は当初予定していた針葉樹4種のサンプル収集および実験を終えた.データ解析の結果,樹種の違いによらず,加齢にともないある普遍的な傾向があることが分かった.すなわち,各樹齢に対応した木部から計測した近赤外スペクトルのデータ行列の固有値は,加齢にともない拡散する傾向が認められた.この固有値分布からヘルムホルツ自由エネルギーやエントロピーを計算した結果,樹木は樹齢を重ねるにつれてより秩序化した状態になることが示唆された.また,得られた固有値と固有ベクトルから各樹齢の密度行列を算出したところ,樹齢の加齢現象は明らかに不可逆的な過程であることも分かった.木材は通俗的に再生可能であると言われるが,この結果は厳密には同じ性質(状態)の木材を再生することは不可能であることを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した実験は全て終えており,データ解析の結果も興味深い内容であった.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり広葉樹4種についても同様の実験を行い,今年度の針葉樹で認められた結果が樹種によらず広く当てはまるものか検証する.
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