2021 Fiscal Year Research-status Report
リグニンモノマーを起点としたアプローチから解き明かすリグニン由来生物活性の正体
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21K05711
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
重藤 潤 広島大学, 学術・社会連携室, リサーチ・アドミニストレータ― (70570852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 祐司 九州大学, 農学研究院, 教授 (30236921)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工リグニン / 生物活性 / 抗酸化活性 / 抗SOD様活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
工業リグニンのいくつかの画分では、抗酸化活性、抗糖尿病、肥満制御、抗菌活性、抗凝血、抗がん活性、抗肺気腫といった生物活性が報告されており、その活性を活用したヘルスケア分野での用途が期待されている。一方で、リグニンのヘルスケア分野、特にがん治療など医療における利用方法を提案、確立するためには、リグニンの生物活性が発現する機序解明が必須となるが、これまで報告のある生物活性はいずれも混合物のものであり、その解明は困難となっている。申請者はこれまでに4種のリグニン重合に関与するペルオキシダーゼ(CWPO-C, AtPrx2, 25, 71)を同定し、それら組み換えタンパクを用いて、リグニンモノマーから天然リグニンと分子量分布が似たリグニン様ポリマー/オリゴマーの合成に世界で初めて成功した。人工リグニンの作製においては、重合に用いるモノマーの種類およびペルオキシダーゼの種類と濃度によって重合産物の分子量分布は異なるが、反応条件が一定の場合、得られる産物は規則的となる。また、変性過程も含まず、化学修飾の有無も制御可能であるため、工業リグニンを起点としたアプローチにおける障壁を回避することができる。 2021年度は組換えCWPO-Cを用いて作製した人工リグニンの抗酸化活性を検証した。その結果、シナピルアルコールから合成したリグニン様ポリマー/オリゴマーには、コニフェリルアルコールから合成したものよりも強い(およそ6~9倍)スーパーオキシドジスムターゼ様活性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組換えCWPO-Cを用いて作製した合成したリグニン様ポリマー/オリゴマー(人工リグニン)が抗SOD活性を有することを明らかにすることができた。中でもシナピルアルコールから合成した人工リグニンには比較的強い活性が検出され、今後、活性因子(化合物)の同定に期待ができるため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは比較的検証しやすい抗SOD様活性面に焦点を絞って活性本体の追求、検討を行い、その後、資金面で実行可能であれば、アンメットメディカルニーズの高くハイインパクトとなることが予想される、抗がん活性をターゲットとして活性の検証を行う。
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Causes of Carryover |
研究費総額とサンプル等のリソースを考慮し(できるだけ節約するため)、比較的少額な研究費を必要とする実験を優先した。比較的費用を必要とする今後の実験のため、余剰資金を次年度に繰り越した。
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